昔、隣の席だった君。【skt】 (ページ28)

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となり*28 ページ28

「いただきます。」

そう言って、届いたオムライスを口に入れる。

わ、思ってたよりも卵がトロリとしてて…

「美味しい……。」

そんな私の様子を見て、ニコニコとしているさかたん。

「はい、これもどうぞ。」

そう言って、自分のオムライスを私の前に置く。

「ありがと～!」

オムライスを口に入れて、また美味しい… と呟く私。
そして、またニコニコと私を見ているさかたん。

「あ、私の少しあげるよ。」

そう言って私のオムライスをさかたんの前に置く。

「ありがと!」

食べて、さかたんは目を見開く。

「何これ、めっちゃ美味しいやん。」

私と同じものを美味しいと言ってくれて、嬉しくなる。

ほんわかとした雰囲気で交換しながら食べ進めていると、途中であっと気づいた。

「ん？どうしたん？」

オムライスを食べる手が止まった私に、さかたんが不思議そうに聞く。

私は、バッグからゴソゴソとハンカチを出した。

「はいこれ。忘れないうちに渡しておこうと思って。」

あぁ、と呟いてさかたんは受け取った。

「懐かしいな、これ。
もう返されへんと思ってたわ。」

私も、大人になってから返すなんて思ってませんでした。
と、心の中で呟く。

「ずっと返したかったんだけどね、返すタイミングが無くて
ごめんね、遅くなって。貸してくれてありがとう。」

そう言いながら、思った。
さかたんのハンカチを持っていたら、また会えるかもしれないと期待してたんだろうなって。

そして、本当に会えたんだからそれはすごいと思う。

いえいえと言いながらまたオムライスを食べるさかたん。
美味しそうに食べる姿が可愛くて、少し笑って私もオムライスを食べた。