大きな決断 ページ44
A「皆さん。本日は…私の就任式に来てくださり、本当にありがとうございます」
壇上に立ったままAが語りだし、そのイレギュラーな出来事にマレウスやスノーラ、過去にも就任式に来ている人たちが驚いたような顔をしていた。
A「父のような当主になれるように……精一杯、努めて参ります」
深呼吸をして、Aは緊張と不安で暴れる鼓動を何とか落ち着かせる。
A「そこで、皆さんに聞いていただきたい話があります」
ふるふると震える手をギュッと握ってAは口を開いた。
A「私……妖精族になります！」
リリア・マレウス「「は！！？」」
誰もが予想していなかった宣言に、会場全体が混乱する。
A「知っている方もいると思いますが、私は微妖精です。そんな私がこのような神聖な位についていいのか……ずっと悩んできました」
リリア「…！」
人間でもなければ妖精族でもない中途半端な微妖精という立場は、Aの心を締め付けていたのだった。
先代たちの中には、微妖精の当主は誰もいなかったという。そのような記録がさらにAを悩ませていた。
A「微妖精には、人間で言う20歳を超えるとどちらの種族になれるのか選ぶ権利があります。たくさんの微妖精の方々は人間を選ぶそうですが……私は、妖精族を選びます」
たくさんの書物を読んできたが、『人間の方が、妖精族よりも短い年月で済むから』。書物にはそのように書かれていた。どの作者も、みんなそうやって書いていた。
でも、Aは違った。
A「……私は、いつまでもそばにいたいと思っている方がいます。だから…私は妖精族になって、その方のそばで…死が私達を分かつまで……生きます。力強く、生きて見せます！」
その強い気持ちに誰もが心を打たれた。そして、本日二度目の大きな拍手が鳴り響いた。
＿＿＿＿＿＿＿＿この日から、Aは当主になり、妖精族になったのだ。
そんな彼女の決意は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
大きな決断 fin,
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 300人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Fの小説 | 作成日時：2021年4月9日 21時
