【小説】貴方が悪魔として生きる日々。【募集企画】

けんぞくたくさん ページ27

【ルシアside】

「やめて！やめてよぉ！」

泣き叫ぶしか出来なかった幼き日々
下卑た人間が私の友を、先ほどまで笑いあっていた親友を八つ裂きにしてミンチにしていくさまを
私は見ていることしか出来なかった
その絶望は今でも心に巣食っている
だから私が全て奪うのだ
ただ奪うだけでは飽きたらない
希望をちらつかせて叶ったと思った瞬間に同じように切り刻んでやる
この手で

ーーーーー

サタンに人間達、そしてあの子供二人のような輩を潰せと言われた
と、言うことは王宮につれていくことなく殺せと言うことだろうか……

(……友をとるか、己の信念をとるか……か。)

ああ、サタンにあんなことを言われてから頭が痛い
嫌なことが全部蘇ってくる
嫌いだ
人間も、あいつも……そいつらも
だってそうだろ
不幸だかなんだか知らないが我が同胞を糧にしたんだ
……どうせ死ぬ予定だったのならば
生かしておく理由はない
そうだ
私の信念とは、悪魔の幸せ
決して誰も死ぬことなく、幸せに生きること
それを除外する者がいたとあっては困る
私の憩いの場が、脅かされるなどあってはならない

(すまないルイ……)

私は心の内に謝罪を溢すと飛び立つ
あいつらの元へ
奴等は思った通り列車へと向かうだろう
ならばその前に送ろう
私は炎のけんぞくを作り出す
そして命じる

「この手紙を、レイヴァとシャルドネに渡せ。お前達は人間達の抹殺、そこのは他の悪魔の保護だ。人間を救おうとしたならば穏便に阻止し、何か別に要望があったなら助けてやれ……いいな。」

けんぞくは何も言わずただ頷く
それを皮切りにけんぞくは列車方面へと飛び去った
要望を叶えてやれといったのは、せめてもの詫びだ
ああ、そうだ

「そこのお前こちらに。」

最後に飛び立とうとしたけんぞくを呼び止めて私は命じる

「ついでにこれをルイースに。……もしかしたら、もう会えぬかもしれないからな……お前には言葉と意思、そして私の炎の力を半分授ける。あの弱虫を助けてやれ。」

「……わかりまちたルチアちゃま！青ちゃんにおまかちぇくだちゃい！きっとルイーチュちゃんのお役にたちまちゅ！」

「……ちょっと個性強めに作りすぎたか……まぁいい。いけ。」

「わかぃまちた！待っててねールイーチュちゃん！」

「……はぁ」

どっと、疲れが出た
少し休もう
屋敷にもどってご飯食べて
人間狩りは明日でも……いいよな？
うん、けんぞくにまかせよう
あーくそ魔力がなくなると自堕落な気分になる
力も預けてしまったし休んでも文句あるまい

(ルイースには見られないようにしよ)

そう思いながら私は立ち去った

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