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快適な台風の過ごし方 4 蒼乃碧ページ10

青 side

あー、遅なってもた！

けどなー、全員集合の初めましてやし、おれ座長やし。

なんて、誰にするでも無い言い訳を、タクシーのシートに身を沈めながら心の中で呟いて。

楽しく飲んで、これからの士気を高めたかったし…めっきり減った飲み会の席、久しぶりやからちょっとはしゃいでしもたかもしれん。

あー、遅なった！

おーくら、寝てるかな？

遅なる、とはメールしたものの、先寝といて、って言わへんかったら…起きてるかもしらん。

ポツポツ。

タクシーのフロントガラスを雨粒が叩く。

結構、風も出て来て…空から、不穏な音が聞こえてくる。

「嵐が来るのかな」

「そうですね、台風が来るみたいですね」

独り言に、律儀に返してくれる運ちゃん。

大阪ではごくごく普通やけど東京では珍しいな、なんて思うと、話が弾む。

この時。

おれがタクシーの運ちゃんと喋くり返ってないで、おーくらに電話しといたら。

いや、喋りながらでも、携帯を確認しといたら…メールが未送信になってたことに気がついたやろうに。

そんなことに、おれはぜーんぜん、気がつかないまま、家に辿り着いた。

コンシェルジュのお姉さんに挨拶したりして、いつも通り家に向かう。

「ただいまー」

家に入ると、ほんのりカレーのいい香り。

やっぱり、今日カレーしてくれたんや！

残念やなぁ、けど2日目のカレーも美味しいからな。

明日の朝ご飯に頂くにしよう！

…ん？

って…それにしてもおーくら、出てけぇへん…寝てんのかな？

まぁ、そうやわな、てっぺん、超えてるもん。

おーくら、寝んのん好きやし…。

じゃあ、おれもおーくらの幸せそうな寝顔を拝んでから、シャワー浴びて寝るにしようっと。

って。

寝室に行ったら。

…あれ？

おーくら、居らへん…どこ行ったんや？

トイレ？

いや、さっきトイレの前通ったけど…音せぇへんかったし。

…あれ？

おらへん…。

えっと、今日はおーくらは、早よ終わってるはず。

あれ？

おーくら、どこ行ったん？

おれは本格的に焦りを感じ、家中を探し回った。