おーくらの夜は・・・長い。(笑)�� ページ34
電話では伝えられないもの
やすside
公演が終わると俺は急いで着替えて、マネー
ジャーの車に乗り込んだ。
「あ、そうだ。
電話しなきゃ。」
「え？電話かけるんですか？
今から行くのに？」
「そだよ。」
それにしても、電話の声は元気そうやった
な。
あんなに難しい芝居やったのに、見事にやり
きったし。
凄いなぁ、
さすが俺の王子様。
「電話しなくていいんですか？」
と、マネージャー。
「そうそう。」
「早くしなきゃ、着いてしまいますよ。」
お説ごもっとも。
俺はスマホでおーくらの番号を押すと、彼は
速攻でスマホに出た。
きっと待たせちゃったんだね。
眠いだろうに、ごめんね。
しばらく話してるあいだに、車はおーくらの
マンションの前に着いた。
「ちょっと待っててくれる？
すぐに戻ってくるから。」
「はい、わかりました。」
俺は車を下りると、おーくらと話を続けた。
「じゃあ、見てみる？」
「へ？今何と？」
「ちょうどおーくらのマンションの前にい
るねん。」
「お、おまえなぁ、
それを早く言えって。
鍵開けるから早く上がってきて。」
「うん、今行く。」
エレベーターで上がると、おーくらは玄関の
前でウロウロしていた。
「おまえなんでここにおんねん。」
「これをね、渡したかったの。」
カバンから一通の封筒を取り出した。
「これは？」
「俺の舞台のチケット。」
「わざわざこれを俺に？」
「うん。」
「マネに渡してくれればよかったのに。」
「自分の手で渡したかったの。」
「疲れてるのに、(泣)
それで、ちょっとは中に入れる？」
「ううん、マネが下で待ってるから。」
「そっかー。」
「それとね、もう一つだけ・・・。」
「ん？どした？」
「電話では伝えられないことをしなくっち
ゃ。」
「電話で伝えられない事？」
「って言うか電話でできない事。」
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作者名：niko | 作成日時：2021年3月15日 19時
