倉とやすの物語�� ページ13
やすside
俺はラーメンを食べながら、これからの事を
考えていた。
このままおーくらに甘えてしまって、大丈夫
なんだろうか。
確かにおーくらは優しい。
優しすぎるくらいに優しい。
けど、恋にトラウマがある俺にはどうしても
先に進むことが怖くなってしまう。
また一人きりになってしまうんじゃないか。
ついそう考えてしまう。
でもこのままではいけない事も分かってはい
る。
一歩踏み出さなきゃ。
おーくらとだったら、乗り越えて行けそうな
気がする。
彼の優しさに甘えて、
今日、俺から誘ってもええかな。
さぁ、勇気を持って自分から言うんだ。
一歩踏み出した先にはきっと、明るい未来が
まっていると信じて。
「じゃあ、帰ろうか。」
「うん。」
今度は俺からおーくらの手を握った。
二人寄り添いながら歩く道。
ここから始まる未来。
「なぁ、俺ほんまにおーくらに甘えてええの
かなぁ。」
「あたりまえやん。
ひとりには、しないよ。」
俺がずっと聞きたかった言葉。
この言葉を探し続けていたのに。
やっとたどり着いたところは、
こんなにも近くにあったんだ。
でもきっと遠回りしたからこそ、
神様からのプレゼントなんかな。
「やす？」
呼ばれて振り向いた瞬間、
俺の唇とおーくらの唇が重なった。
「やっと捕まえた俺の天使。」
とおーくらに言われて俺も、
「とうとう捕まっちゃった。」と笑った。
「こっちに来て。」
と結んだ手を引っ張られた。
小さい公園のでっかい桜の木の下。
「ここなら誰もこないから。」
そう言うと、ぎゅっと俺を抱きしめた。
「愛してるって言うまで、時間かかるかもし
れんけどそれでも大丈夫？」
「大丈夫やで。
今まで待ってたんだから。」
そう言うとまた唇を重ねてきた。
おーくらの熱い吐息が俺の中に流れ込む。
体の力が抜けていく。
「俺に寄りかかっていいから。」
「うん・・・。」
ふわふわして、足に力が入らない。
こんな気持ちになったのは、初めてで
自分でどうしたらいいかわからない。
ただひとつわかってることは
おーくらに抱かれたいってことだった。
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作者名：niko | 作成日時：2021年3月15日 19時
