短編集 5 (ページ1)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:20,766 hit

ふたつ手と手。⑤ ページ1

やすside

あの時は、ほんまに嬉しかったな。

俺はブランコに乗りながら、あの時の事を

思い出していた。

毎日疲れてるのに俺に電話をかけてきては、

今日あった事、メンバーの事など詳しく話を

してくれた。

そのおかげで俺はグループの中でも、置いて

きぼりをくわなくてすんだ。

おーくらはずっと俺に寄り添ってくれた。

そして今日も。

最近、俺は体力をつけるために時間があれば

散歩をしてるんだけど、時間が合うとおーく

らは俺も一緒に行くって言うてくれる。

今日も仕事が終わったから一緒に行こうって

言うてくれて。

それでこの公園で待ち合わせしている、のだ

けれど待ちぼうけをくっている。

そういえば話もあるって言ってたな。

何やろか？

「お待たせ～。

遅れてごめんね。」

「いや、俺も今来たとこだから。」

「それなら良かった。」

「今日はどっちのほう、歩く？」

「あんな、俺話あるって言うたやん。」

「うん。」

「どっかカフェでも入って話さないか？」

「ええけど・・・。」

俺は急にドキドキしてきてしまった。

「じゃあ行こうか。」

歩きはじめたらいつものおーくらで、

何も変わったところはないんだけどな。

「もうすぐこの辺も桜の季節がやってくる

な。」

「そだね。」

もう一年になるんか。

早いなぁ、時が過ぎるの。

「前にさ、やっぱり桜の季節にこの辺で

飲んだの、覚えてる？」

「あ、覚えてる。

ひなちゃんが妙にはしゃいだときやん。」

「そうそう。

あの時は楽しかったね。」

「今年も桜が咲く頃、みんなでやりたい

ね。俺が忙しくなる前に。」

「そだね、おーくらのダイエットが始まる

前にね。」

「あー、そやった。(笑)」

「あ、あそこに良さそうなお店がある。」

「ん、あ、ほんまや。」

「個室もありそうだし、ここで良い？」

「いいよ。」

「それじゃ入ろう。」

俺はちょっと緊張してお店に入った。