アーヤは天才サッカー『少年』！？ (ページ37)

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綾真サイド

次の日も、僕は染さんの練習を見ていた。

その次の日も……。

僕は、染さんのシュートの軌道に微かな必殺技になるであろう光を見つけ出していた。

綾真「一念通天……って、奴かな？意外と簡単に裏切られたりするんだけど、今回は身を結びそうだな。」

客観的に染さんを観察していた僕だからこそ早い段階で必殺技の片鱗に気がつけたけど、染さん自身が気づくことすら出来てないから、なかなか上手くいかないシュートに喪失感すら感じていた。

綾真「ねぇ、守。染さんと少し話してきたらどうだ？」

円「あぁ、そうだな……綾真も一緒に行こうぜ！」

綾真「僕も？」

ああ！と言いニカリと笑う守に、驚きながらも共に染さんの元へと向かい、3人で河川敷の土手に座り話しをする事にした。

NOサイド

染「俺さぁ～、豪炎寺が羨ましかったんだ……」

円堂と綾真の顔を見て話すのはなんだか恥ずかしいのか染岡は土手に寝そべりながら自分の思いを語った。

染岡の思いを聞いた円堂は

円「お前は豪炎寺じゃない！染岡竜吾だろ‼」

実に円堂らしく、そして相手の気持ちに寄り添った励ましをかけていた。

円堂の言葉によって、それまで沈んでいた染岡の顔に笑顔が戻り始める。

綾真「染さんは今までの後悔と精一杯向き合ってきたんだね」

染「えっ？」

綾真「修也のシュートを見て、悔しい、自分もあんな風なシュートを打てるようになりたい。って思ったんだろ？でも今までのことを思い出して悔しくなって我武者羅に頑張ってた…」

綾真は綺麗に微笑みながら染岡を見る。

綾真「その悔しさと辛さは、今までサボった分だから、もっと頑張ることが大切だよ」

染「綾真……お前、痛いとこ突いてくるよな」

綾真「そうかな？甘い言葉だけじゃ、人間成長しないよ？世の中は守株待兎。時には厳しさも必要だよ。でもね……染さんの努力は無駄じゃない。確実に貴方自身の力になってる。一念通天。努力は必ず報われる。だから、僕は染さんを信じられる。貴方は凄いストライカーになれるって」

ーー今の染さん。すごくカッコ良いよ。

今度は笑顔を向けて、土手を円堂とともに降りて行った。

寝転んでいた染岡は体を起こし

染「言ってくれるじゃねぇ～かっ‼」

負けん気な笑みを浮かべていた。

今の染さん。すごくカッコ良いよ。

その言葉が脳裏で反芻される。

染「あいつは男だっーの！」

そんな声は河川敷に木霊した