４９話汚い感情 ページ7
「…えぇ…」
意味がわからないまま、置き去りにされた私は暫くしてのそのそとゴミ箱から髪飾りを拾いあげた。
さっきの言葉は、ゴミ箱…というよりこの髪飾りを通して、"フロイ"に向けて言ったんだろう。
少なからず、彼が怒ると言う可能性を考えていなかったわけではないが…
「…んー」
野坂の奇っ怪な行動に私は原因の髪飾りを見つめ思い悩んだ。
先程の彼の言動は、私を嫌ってくれたということでいいのだろうか…？
あれだけではどうも判断しにくかった。
嫌われたのなら万々歳なのだが、…案外そうでもないような気もする。
それにだ。
私はそっと目を閉じると先程の出来事が脳裏で再生された。
おかしい。
野坂が『嫌い』と言った時にどうして私の胸にドロリと重い何かが湧き上がったのだろう。
…これじゃあ、まるで_
思い浮かべた言葉をかなぐり捨てて、私は洗面台まで駆けていった。
洗面台の鏡を覗き込むとそこには綺麗なプラチナブロンドに碧眼の美少女…いや、焦った顔をした少女がいる。
私はその可笑しな顔を見てようやく落ち着けた。
(勘違いに決まってる。…私には"ヒロトくん"だけ。彼しかいないの)
ここに居るうちに野坂に好かれていることが当たり前になってきて、感覚が狂ったんだ。
そうに決まってる。
蛇口から出た水で胸に抱いた違和感と共に洗い流せば、鏡に向き直ると、そこには冷たい陶器の人形のような少女がいた。
その顔にほっと安心すれば今度はふと、自分の右手が痛いことに気づいた。
手のひらを見ると、強く握り締めていた跡がしっかり残っていて、いつの間にか例の髪飾りは床にころん…と落ちていた。
「…変なの」
今日の私は一層可笑しいらしい。髪飾りを拾いながらそう思った。
念の為、洗面台の鏡に向かって一度笑いかけて私はスイッチを入れ直す。
それよりも、…とりあえず野坂悠馬を迎えに行くべきだろうか。
しかしあまり乗り気になれなかった。
野坂のことだから夕飯までにはどうせ戻ってくるだろうし、私と違って彼は既に課題を終わらせている。
…急いで探す理由がない。
おまけに、もし私が迎えに行って見つけた時、彼になんて言えばいいのか全く検討がつかない。
_なんかこんなことで悩むなんて馬鹿らしくない？
色んな考えが浮かぶ中、そんな棘のある言葉が妙に優しく自分の胸をいとめ、結論への導いた。
「ほっとこ」
そうと決まれば、プラスチックの髪飾りを引き出しの中に戻して、残りの課題に取り組んだ。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
