６８話 ページ26
「…ありがとう、A。」
ケーキを受けとったベルナルドは少し微笑み、なぜか私にお礼を言った。
その彼のほっとしたかのような緩んだ顔見て純粋に思った。
_彼、ちょっと疲れているんじゃないだろうか？
私が渡したのはもともとは彼の物で、私は彼から貰っていたものを返却したわけだし…。
そう考えると合点がいく、なんだか今日のベルナルドはあまりに気が抜けている気がする。
仕事に没頭して少し脳の回転が遅くなったに違いない。理事長のお仕事とやらはかなり大変なのだろう。
身体が縮んでいることも忘れ、哀れみの目で彼を見ていた。
「うん、美味しいよ」
「まだまだいっぱいありますから！ベルナルドさん。元気出してください。」
これ全部、ベルナルドさんのなんだけどね！？
そんなこと言ったら、不審がられそうなので口に出さなかったけど、そのぐらいの勢いでベルナルドに迫った。
「ふふ、ありがとうA。でも、私は君が美味しそうに食べる姿を見ていたい。
駄目だろうか？」
彼は慈しみの目で私の頬を撫で上げた。
こういう時、イケメンの顔が憎い。
頷きたくなる衝動に負け、ケーキを頬張ればベルナルドは私の頭を撫でた。
「美味しいかい？」
「…美味しいです。」
「それはよかった。」
さすが爽やか美青年、なんだか逆らえない。
減らず口ばかり出る私の口も開くたび声は出ないまま閉じるばかりだ。
本当に私が何も知らない子供だったら、よかったのかもしれない。ただ、目の前のご馳走に目を輝かせているだけでいいのだから。
目の前にいるこの青年が何かを企んでいるのは確かだった。
ここにベルナルド本人がいるのが何よりの証拠だ。
そのベルナルドは何をやっているのかと思えば、私にケーキを食べさせるというよくわからないこと。
だが、並べられているケーキに何かはいってる訳ではなく、紅茶の中にも何も入ってない。
向こうの世界でもそうだが親戚の奴らに散々お世話になったもので、付け焼き刃程度だがそれなりに知識はあった。
変な臭いもしないし、匂いのないものだとしても私が口に入れてから時間は経っているから効き始めていい頃のはずなのだけど問題なく手は動く。
…私に何かをさせようとしているのだろうか。でも何を？
そんな仮説を立てていると、不意にベルナルドの手が私の手に触れた。
自然と顔を上げると真剣な顔をしたベルナルドがいて、少し聞いて欲しいことがある。と言った。
「_A、私と」
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
