６４話 ページ22
引き取り手のあの叔母のところで調べがついた私の事情を知った上で彼はここにいる。
そう判断していいみたいだ。
なんのつもりでここに呼び出したのか、私はぐるぐると頭を回す。
特に思い当たることはなかった。
実際フロイから渡された彼の連絡先が書かれた紙切れだって、覚えた後にシュレッダーの線切れよりも粉々にして捨てた。
忙しい彼が私に会いに来た用件がわからない。
困惑気味に彼の顔を伺っていると、彼は無言でボディーガードに目配せしてボディーガード達を扉の外へ促す。
部屋を出るなと心中で甲高い悲鳴を上げている私なんて目もくれず彼らは軽く会釈をしてガチャリと扉をしめた。
(ちょ、ちょちょちょい待てぇぇ！！二人きりとか嫌なんだけどぉお！？)
呆然と開くことのない扉を見ていると、後ろの方からコップを小皿の上に置く音が響き、私の不安を煽る。
取り敢えず、背筋を伸ばして彼に無礼のないように足のつかないソファに座り直し向き合った。
「この部屋は君と私だけだ。そう気を張らなくていい」
そうやってにこりと爽やかな笑みを向ける美青年。
逆に怖いわ！余計畏まるわ！
そんな悲痛な叫びも彼を目の前にして言えるはずがなかった。
＿彼の名は、ベルナルド・ギリカナン。
無知だった頃の私は彼を"ベルおにいさま"と呼んでいた。ちなみに今はどう呼ぶかは絶賛検討中である！
以前より少し長くなった銀髪を後ろで束ね、水色のつり目と右目の泣きぼくろが特徴の美青年で、白いスーツを着こなしているためか、この部屋からかなり浮いていた。
こんなこじんまりな場所で、高級スーツ着てたらそりゃ馴染むわけがないだろう。
だがスーツを着こなし周りを萎縮できるほどの圧があるのは紛れもなくフロイ・ギリカナンの兄であり、なによりあのオリオン財団の現理事長様であるからだろう。
フロイと兄弟だからか、目元や口元がどこか似て、爽やか美青年。
…まあ要はイケメン理事長ってことで彼の話は終わりにして、だ。
とりあえず何も話さないのはあまりよくないため、話題になりそうなことを口にした。
「髪伸ばしてるんですね」
「ああ…！君が私の髪を好きだと言ってくれたからね」
腰辺りまで伸ばそうかと思ってるよ。
ひきつった笑みになりそうな自分を差し置き、ニコニコと彼は嬉しそうに語り出す。
ごめん。…餓鬼の言葉を真面目に受け取らないでいいんだよ？
なんだか無性に謝りたくなってきた。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
