５６話どうでもいい ページ14
野坂と友達になって数日後
すぐ真横で、ドンッと音が鳴る。
一瞬も驚かなかったといえば嘘になるが、一瞬でもときめいたかといえば嘘になる。
「どうかな？」
壁に手をつき、その両腕の間にいる私に尋ねる彼はときめいたか否かを聞いているのだが、生憎彼の望む言葉を言えない。
「…動くのを阻止して、楽しいの？」
嫌味たっぷりの笑顔で言えば、彼は効果なしを理解したのか離れてくれた。
「…コレは、まだ適齢じゃないのか」
私を置いてけぼりにして、彼はぶつぶつと考察を始める。
まだ小二が使わない言葉を使ってるよ…。
彼こと、野坂悠馬とお友達関係になってからというものの、得に変わったことはない。
…が、彼なりに"頑張っている"のは見て取れた。
片っ端から少女漫画を読みふけったり、インターネットでも乙女心を理解するために関連サイトを真剣に閲覧している。
今回はそこに描いていた"壁ドン"を実践したんだろう。
彼は適齢がどうのこうの言っていたが、…確かに、私もそうだと感じる。
かつての同級生がギャーギャー言いそうなことを野坂にやられっぱなしだが、本当に小学二年生にやられても響かない。
流石に連続実践してはことごとく折れているので、野坂から負のオーラが漂っている。
「…早く大きくなりたいな。」
変なのと最初は思ったが、昔のわたしをふいに思い浮かべてその考えを改める。
かつてのわたしもそうだった。
だから、私はついつい余計な口を挟む。
「無理して背伸びしなくてもいいんだよ。子供でいられる今を楽しめばいい。」
アドバイスするも、彼は全く聞く耳持たない。
「でも、子供は何もできないよ。」
「…結果をより過程を大切にしなさいよ。
いい？大人ってのは、面倒の塊なんだよ。
学力はもちろんいるけど、それより社交辞令とか、強いメンタルとか持ってないとドロドロ渦巻く汚い人間関係を切り抜けないわ。…働く職場によっては適応力もいるし、いざって時には決断力もいる。何をやるにも財力と権力が_って、おとーさんが言ってたけど、実は私もわかんないんだ！
でも子供の時期を大切にしろってことなんじゃないかって思ったんだけど、悠馬くんはどう思う！？」
野坂が呆けているのを見て、慌てて野坂に投げかけた。
彼はポカンとしていた顔からー理解したのか、ふにゃりと笑う。
「…だから、僕は大人になりたいんだ。」
「？」
「ふふ、いつかAちゃんにもわかるよ。」
野坂は結局その答えを教えてくれなかった。
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
