短編「コワイモノ」後 ページ30
「それなら、お店の人に説明してみない？
私達だけで探すより、きっと早く見つかると思うよ。」
探す人数は多いに超したことはない。
だが、野坂は眉をハの字に曲げるだけで頑なに譲らなかった。
「…なるべく人に触られたくないものなんだ。
でも、一周回ってみて見つからなかったら事情を話して、任せるよ。」
野坂の言う"大切な物"がなんなのか聞けば、内緒の一点張りでなんなのかわからない。
…まあ、野坂に限って"誰かさんの怖がる姿があまりに面白いから虚言を並べて連れ込もうとしている。"とは考え難い。
私は頭が捻くれているものだから、大切な物の正体を言わない彼の言葉自体を疑ってしまうが、逆にだ。
彼がそこまで執着するモノがあったなんて、到底考えらなかった。
「…じゃあ、僕、一人で行ってくるね。すぐ戻るからAちゃんはここで」
「っ！？それはいや！」
ぎゅっと必死に野坂の服の裾を掴んで、行かないように必死に引き止めた。
こんな状況の私を一人にするとか、いじめか！？いじめだよな！？
まずさ、入ろうっていったのお前じゃん！？
『僕、その…Aちゃんと入りたい…。…だめ？』とか言って私の心を抉った責任取れや！……と私の中は恐怖のあまり泣くどころかやさぐれ始めた。
「かわ…、いや、えっと…ごめん。一人は嫌だったね…」
「…まあ、…うん。」
子供に頼むのはやっぱり恥ずかしい以外のなんでもなくてうつむいて答えると、野坂の方から息を呑む音が聞こえた。
呆れているに違いない！いくら野坂が私に寛容だからといって今回ばかりは引いているだろうよ！
と思っていたが、相変わらず野坂は通常運転だった。
「大丈夫、何があってもAちゃんのことは僕が守るよ。」
野坂は私の頭をそっと撫でた。
「だって、Aちゃんは僕の大切な人だもん」
呆気にとられた私ににこりと野坂は微笑むと、そっと私の手を引いた。
「じゃあ、準備はいい？」
「…いいよ。」
なんだかんだ言って、私のことを心配してくれているのは本当だろう。
ゆっくりと相手を気遣った歩きに連れられて、闇が広がる屋敷の奥へと進む。
あの時とは違うが、それでも安心できる手の温もりに少しだけ頬が綻んだ。
おまけ〜
「ひぃぎゃぁあああ！！来ないでぇぇ！来んなぁぁ！！」
「あの仕事なのはわかりますけど、これ以上彼女に近づかないでもらえますか？
…正直、目障りなので」
「…ア、ハイ」
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沙稀乃(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» ありがとうございます！(*´∇｀*)私の頭がポンコツのため、なかなか進みませんが、よろしくお願いします！\( ˙▿˙ )/ (2021年11月5日 0時) (
レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 20時) (レス) @page40 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - ピータンさん» コメ、ありがとうございます！！凄く面白いと言われて、もう既に心が有頂天になってるんでまともに返信ができませんが、本当に嬉しいです。ありがとうございます！更新のろのろですみません…！ (2020年8月21日 16時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
ピータン(プロフ) - すごく面白いですね！これ野坂君がもっと大きくなったらどうなるんだろう？これからも楽しみにしてます！ (2020年8月21日 11時) (レス) id: d4faf78640 (このIDを非表示/違反報告)
沙稀乃(プロフ) - こさめさん» え！？本当ですか！！ありがとうございます！！コメント本当にありがとうございます！嬉しいです！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: 5e2cd7ca09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙稀乃 | 作成日時：2020年4月12日 12時
