フラミンゴ【源田】 ページ15
昼休みともなれば、普段は粛々とした雰囲気である帝国学園も和気藹々となる。職員室から出て、教室から漏れている賑やかな声が響く廊下を通り抜け、最奥にある自分の教室に戻る。やはりこちらも例に漏れず活気に満ちていた。今日は天気が良いのもあって、尚更生徒たちの声色は明るかった。半開きになっていた教室のドアの前で一度立ち止まり、先ほど国語科の教員から預かったクラスメイトのノートを眺めて名前を確認する。職員室にクラス全員分のノートを提出しに行った際に、ついでに返しておいてくれと預かったものだ。白い表紙の下の方に、丁寧な字で「A」と名前が綴られている。
あいにくだが、俺と彼女にはほとんど親交がない。顔と名前は覚えていて……ああそうだ。すごくきれいな人だなという印象はあった。ちゃんとした会話をしたことはないので、性格については詳しく知らない。しかし国語の成績が抜群に良いらしく、実際に小論文コンクールで何度も表彰されているのを見ているので得意なのだろう、と思う。
彼女の席はどこだっただろうか。目だけでその姿を探すと、教室の後ろのほうに座って弁当を食べながら、二人の友人と仲睦まじげに話している横顔が見えた。帝国学園の制服を着崩すことなくきっちりと着こなし、黒色で艶っぽい髪を上のほうで結い、何もつけていないにも関わらず美しい肌をしている。その姿に少し見惚れながらカツカツと革靴を鳴らし、机と椅子の間を通り抜け、彼女の目の前に立つ。
「Aさん、今ちょっと大丈夫か？」
「はい？」
彼女が箸を手に持ったままこちらに顔を向けた。俺と彼女は特に仲がいいわけではなかったので、友人たちは少し不安そうにこちらを見ている。取って食ったりするわけじゃないのだが、と内心で苦笑いをしながら、「現代文のノートを預かっているんだ」とそのノートを手渡す。彼女はそれを見て「ああ！」と思い出したような表情をして、そしてコロリと表情を変えたかと思うと「ありがとう」と優しく微笑んだ。
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＊IJu＊(プロフ) - これからもこっそり更新楽しみにさせて頂きます……！ (2021年11月4日 21時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - いつもこっそり更新を楽しみにしている者ですが、まさかの自分の最推しのお話が更新された事に興奮してしまい…コメント失礼しますorz偽薬さんの小説はどの子のお話も最高に最高で(語彙力)文章も素敵で大好きです…！！ (2021年11月4日 21時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - 黄昏さん» こちらこそありがとうございます。黄昏さんのイラストですので、もちろん外部サイトに投稿していただいて問題ありません！ URL記載も任意で構いませんよ(^^) (2021年2月19日 17時) (レス) id: 21f878ceea (このIDを非表示/違反報告)
黄昏(プロフ) - 偽薬さん» ありがとうございます…！嬉しいです！描いたイラストなのですが占ツク以外にもTwitter等に投稿してもよろしいでしょうか？(URL記載致します。) (2021年2月19日 15時) (レス) id: 0afb2c72bc (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - 黄昏さん» はじめまして、偽薬です。お褒めいただき恐縮です！ ファンアートの件、もちろん大歓迎です！ 楽しみにしてますね！ (2021年2月19日 3時) (レス) id: 2a0f159948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：偽薬 | 作成日時：2018年10月18日 0時
