夜光蝶【半田】 ページ11
放課後のチャイムが鳴ると同時に教室が一瞬にしてざわめきだした。大きな鞄を持って部活動に向かう者、クラスメイトと委員会活動に向かう者、どこに寄り道するか友達と話しながら帰宅する者、テスト勉強をするため図書室へ向かう者など、クラスメイトたちは教室から開放され、各々好きなように活動を始めていた。それはごく普通の、いつもの放課後の光景であった。
さて俺はどうしたものかと教材を鞄にしまいながら考える。部活動には所属しているが、活動が盛んでもない、それどころかもはや廃部寸前の弱小サッカー部。ちなみに人数も足りていない。サッカー部とは名ばかりで、部室に行ったところで漫画を読むくらいしかやることもないし、そもそもグラウンドは借りられないのでろくな練習もできないし、出ても出なくてもいいようなもの。せめて部室には行くか迷ったが、まあいいか。帰って新作のゲームでもしよう。机の下の方に埋もれているワークを引っ張り出して鞄に滑り込ませ、それから筆箱と弁当箱も隙間に入れて家に帰る支度を済ませる。時計を見ればまだ四時二十分。今から帰れば、寄り道をしたとしてもゲームがかなり進められそうだ。
さて帰るかと席を立とうとすると、パタパタと二人分の足音がこちらの方に駆けてくる音が聞こえた。その足音は俺の机の前を通りすぎて、隣の席に座る少女の前で止まる。ああ、まただ。そう直感的に思った。
「Aちゃーん！ 日直の仕事代わってもらえない？ 今日予定入っちゃってー」
「Aちゃん！ 私も先生にワーク取りに来るよう頼まれてたんだけど、代わってもらってもいいかな？」
「はい、構いませんよ」
「ありがとー！ じゃあよろしくね！ 美紀、帰ろ！」
「うん、Aちゃんありがとねー！」
にっこりと明るい笑顔を浮かべ、二人はきゃいきゃいとじゃれながら鞄の派手なストラップを揺らして教室から出ていった。彼女は特に気にするでもなくまた手元に視線を落とし、広げていたプリントに何かを書き込みはじめる。どうやら仕事をしているようだった。
あの二人はいつも仕事をこの子に押し付けている。いや、一応承諾は得ているわけだし押し付けているというのは少し言い過ぎかもしれないが、とにかく、日直の仕事やら先生からのお使いやら掃除当番の代行をいつもお願いしにくるのだ。前に二人が「あの子はどうせ彼氏もいないんだろうから放課後暇なんだし」と話しているのを偶然聞いて嫌な気分になったのを覚えている。
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＊IJu＊(プロフ) - これからもこっそり更新楽しみにさせて頂きます……！ (2021年11月4日 21時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - いつもこっそり更新を楽しみにしている者ですが、まさかの自分の最推しのお話が更新された事に興奮してしまい…コメント失礼しますorz偽薬さんの小説はどの子のお話も最高に最高で(語彙力)文章も素敵で大好きです…！！ (2021年11月4日 21時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - 黄昏さん» こちらこそありがとうございます。黄昏さんのイラストですので、もちろん外部サイトに投稿していただいて問題ありません！ URL記載も任意で構いませんよ(^^) (2021年2月19日 17時) (レス) id: 21f878ceea (このIDを非表示/違反報告)
黄昏(プロフ) - 偽薬さん» ありがとうございます…！嬉しいです！描いたイラストなのですが占ツク以外にもTwitter等に投稿してもよろしいでしょうか？(URL記載致します。) (2021年2月19日 15時) (レス) id: 0afb2c72bc (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - 黄昏さん» はじめまして、偽薬です。お褒めいただき恐縮です！ ファンアートの件、もちろん大歓迎です！ 楽しみにしてますね！ (2021年2月19日 3時) (レス) id: 2a0f159948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：偽薬 | 作成日時：2018年10月18日 0時
