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「A」
『ん？』
豪炎寺が交代してから、雷門のキックオフで始まる少し前。
豪炎寺は白石を呼ぶとなにも言わずに頷いた。
白石は少し間をおいてからその意味を理解して、『なるほど』と一言。
そこで試合再開のホイッスルが鳴った。豪炎寺の参加に躍起になった半田、染岡、宍戸の順でパスを回すが帝国のスライディングでとられてしまう。
"デスゾーン"が円堂に向かって放たれた瞬間、白石は位置についた豪炎寺と一瞬目を合わせてから走り出した。
「よし!」
「あぁ!走ったぁ!何故か豪炎寺……よく見れば白石も!円堂をフォローせず、2人で帝国ゴールに上がっていくぅ!!」
「なに……!?」
「アイツ等……
俺を信じて走ってるんだ。
俺が、止めるって!」
円堂は周りに何かを纏うと、迫り来る帝国のボールにではなく上に腕を伸ばす。円堂の頭上に出た大きな掌はをボールに向かって出し、少ししてボールが彼の掌に収まった。
円堂は「これだ……!」満足そうに笑ったあと、先を走るふたりにボールを投げる。
「行けぇ!!A、豪炎寺!!」
白石はそのボールを胸で受け止めてから高く蹴り上げた。。
『豪炎寺くん!』
「ああ!」
白石と豪炎寺は高く上がったボールを追いかけるように飛び、シュートの体勢に入った。
『ダブル……!』
「サイクロン!!」
幼いころに考えていた合体技が数年の月日を経て叶うことになるなんて。
短いようで長い間会えていなかったのに、勝手に体が動いてしまったのはそれほど思い入れの強い技だからだろう。
まさか実現できるとは。
打ってる2人でさえも予想してなかった。
ボールは火と風の相乗効果で轟々と炎を燃やしながら、帝国のゴールへ収まっていった。
『……叶ったね』
「そうだな。
……やっとだ」
2人は静かに目を合わせると、拳を突き合せた。
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年5月28日 20時
