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白石の優しい笑みに、フィールドに足を踏み入れることを躊躇っていた豪炎寺は目金が投げ捨てたユニフォームの背番号"10"を見つめる。
「……夕香、今回だけお兄ちゃんを……許してくれないか」
ーーー
帝国のシュートを止めていた円堂にもついに限界がやってきた。シュートの威力を押し殺す事が出来ず、ボールとともにゴールへと押し込まれれてしまう。
帝国はこれで20点目。ここから雷門勝利までの道筋は全くない。
勝てるビジョンが微塵も浮かばないのは、観客だけではなく、悔しいことに白石も同じだった。
その場にいる全ての人間が諦めムードに入るなか、白石は円堂の前に立ちはだかる鬼道達の間をぬって倒れる円堂のそばに膝をついた。手を差し伸べて、声をかけようとした＿＿＿＿と、同時にグラウンド脇から声が上がる。
「誰だアイツ!」
「あんな奴、うちのチームに居たか!?」
「!」
『……来たね』
顔を上げた円堂と、待ってましたと言わんばかりの表情をする白石。
周りが沸いた人物＿豪炎寺が雷門のユニフォームを来て登場すると、腕を組んでいた鬼道が小さく笑い、それを見た白石は納得した。
『(帝国の狙いって豪炎寺くんだったのか)』
ただ単に帝国に抗うための助っ人として豪炎寺に出てもらいたかった白石は、また予期せぬところで力を発揮した自分の第六感に笑わずにはいられなかった。
「待ちなさい!君はうちのサッカー部では……!」
「いいですよ。俺達は……」
豪炎寺に駆け寄ってきた冬海を右手で黙らせた鬼道。豪炎寺の実力を見るためであれば多少のルール違反などどうだっていいらしい。なにもかも帝国の考え通りに進んでしまっていると考えたら、少し癪ではあるが。
帝国側が部員外の人物の交代を承認したため、公式大会であれば不可能なことが許可された。
「……豪炎寺!やっぱり来てくれたか!」
『ちょ、守』
「大丈夫か?」
豪炎寺と同じ目線に立とうとした円堂。勢いあまって足の力が入らずに倒れそうになるが、白石と豪炎寺が左右から支えた。円堂は改めて豪炎寺を見ると、嬉しそうに笑う
「遅すぎるぜ、お前」
豪炎寺は初めて円堂に微笑み返した。
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年5月28日 20時
