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白石の提案に驚いていた円堂だが、白石の瞳が今までのような穏やかなものではないことを察した円堂は、その交換条件を引き受け、ボールを託した。
白石はひとりで帝国側へと突っ込んでいく。
「寺門、佐久間!」
鬼道に指示を出されて2人係で止めにきた帝国。
白石はゆるく笑うと、なんの抵抗も迷いもなく2人の間を通り過ぎていった。
「なに!?」
佐久間が思わず立ち止まって驚く。
技を出さずとも。目立たずとも。白石の単純で簡単なプレーは多くの人を魅了する。
路地裏で誰に見せるわけでもなく繰り広げられている手品に、意味もなく惹かれてしまうように。
「……流石だな、怪傑の奇術師」
『お褒めに預り大変光栄だ。
でも残念＿1点は頂くね』
白石は鬼道の耳元で囁くように宣言したあと、彼の横通りすぎてからすぐにボールを蹴った。
帝国が雷門から最初の1点を取ったように、白石はただのノーマルシュートを打ったのだ。
これは余裕、とゴールキーパーの源田が構えるとそのボールは消えた。
「なっ……!!」
「あれは……!?」
驚く源田と鬼道を他所に白石は笑みを浮かべる。
『悪いな、帝国さん
………いただいていくよ』
白石が指差した先には、源田の背後のネットに当たって転がるサッカーボール。
得点版の0が1に増えた。白石はそれを見ると満足した顔をして、自陣へと戻っていく。
そこで前半終了のホイッスルが鳴り響き、仲間たちはゴール前から白石を笑顔で迎えた。
「すっげぇーなA!
あの帝国から1点取るなんてさ!!」
『それが交換条件だったからね。
次は守の番だ。守ってくれよ?』
「おうッ!」
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年5月28日 20時
