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雷門中学、白石の1点以外特になにもできないまま前半が終了した。
先ほどまで白石を笑顔で迎え入れてくれていた仲間は、ベンチ前に戻ると同時全員に座り込んでいる。
「皆……」
「喋る元気すらないみたい……」
マネージャーの秋と新聞部の春奈は皆の姿を見て心配そうに呟く。
その声を聞いて白石は帝国に目を向けると、同じように風丸も彼等を見ていた。
「どうなってんだアイツ等……!誰ひとり息が乱れてないぜ」
「そりゃあそうさ。奴等、走ってないからね」
風丸の言葉を、凄いを通り越して呆れたようなマックスが繋いだ。その言葉を右耳から左耳へ流した白石は、何かを考えるように顎に手を当てたあと、ふむ、と唸ってから思考を巡らせた。
『(このゲーム……何か裏がある)』
ただ雷門に勝つために試合を挑んだのなら、初心者に分かりやすく部員を痛め付けずにサッカーが出来たはず。しかし、この試合の帝国は敢えて雷門をいたぶる事で、何かを誘い出している様に見えた。＿＿＿と言うか、考えてみればそれにしか見えなかった。
＿…何か目的があるはずなのに、その"目的"が分からない。
人知れず考えを巡らせる白石の肩を「Aはやるだろ!?」と円堂が掴んだ。少しだけ吃驚した様子の白石は慌てて答える。
『え、あ、試合？そりゃもちろんやるよ』
「……白石さんは強いからそんなことが言えるでヤンスよ。」
「俺達はもう無理ですって」
『……随分弱気だなぁ。
もう1点、取ればいいのかな？』
「「「え!?」」」
自然な感じで凄いことを言ってのける白石に雷門は驚いた顔を隠せない。
白石は首にかけたタオルを取って軽く畳むと、帝国から目を離さずに淡々と口を開く。
『出来ないことは無いよ。
でもそれだと負担が大きいし、出来ればもうひとり……』
白石はそこで一度区切ると、
木の影に隠れている"彼"を一瞥した。
『＿＿誰か欲しいんだけどさ』
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年5月28日 20時
