【イナズマイレブン】怪傑の奇術師【男主】 (ページ17)

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鉄塔広場に行けないのには、明確な理由があった。

『……お邪魔します。』

控えめな音を立てて病室に入り、少女が眠り続けるベット脇の椅子に静かに腰を下ろす。

少女の名は、豪炎寺夕香。
正真正銘、本日転校すてきた豪炎寺修也の妹だ。

＿＿＿何年ぶりかの再会を果たしたあの日、豪炎寺のたったひとりの妹の夕香が事故にあって眠っている事を教えてもらっていた。豪炎寺の試合を見に行く際に、トラックと衝突事故を起こしてから、一向に目を覚まさないのだという。

そして豪炎寺は、その罪を償うために妹が起きるまでサッカーはやらないと白石に告げた。
そのことを聞いた時、なにふざけたことを言ってるんだと白石は思った。だが、その時の白石の立場は豪炎寺に逆らえるものではなかったため、口に出すのをやめたことを覚えている。

『夕香ちゃん、君はお兄ちゃんのサッカーが好きだよな』

豪炎寺と白石がサッカーをしていると、決まって豪炎寺の方を応援していた彼女を思い出す。心優しい彼女が白石を応援していなかった訳ではないのだが、結構な割合で彼女の応援は豪炎寺に傾いていた。

それほど自分の兄のサッカーが好きなんだと、白石は思っていたのだが。

『(豪炎寺は、そのサッカーをしていない)』

妹が大好きなサッカーから豪炎寺は離れている。

これから起こる帝国戦にも、豪炎寺の力は必要だ。
勝って廃部を免れる為にはそれしかない。

さあて、と。丸椅子に腰を落としたまま白石は背筋を伸ばした。

『……どうしてやろうか』