第１２２話 ページ48
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目的地に着き、車が停まる。
「じゃあ行こうか」
そう言って車を降りた父さんに、"なんで"と言いたげな３つの視線が私に向けられて。
それに気付きながらも、私は気付かない振りをする。
心臓が、痛い。
これからの展開に、一歩踏み出すことも躊躇ってしまいそうになる。
そんな自分に苦笑を零しながら、私は父さんに『うん』と頷いた。
ガチャ。
いづみ「あ、おかえりー！」
玄関を開ければ、いつもみたいにいづみちゃんが顔を出す。
ああ、だめだ。
泣くな、私。
『...ただいま』
鼻の奥がツンと痛むのを必死に我慢しながら、絞り出すように声を出す。
突然の"来客"に不思議そうないづみちゃんだったけど、私たちの表情から何かあったってことは察ししたみたいで。
いづみ「あの、どちら様で...」
「失礼、ご挨拶が遅れました。私、Aの父の桜庭修一と申します」
いづみ「あ...私はこの劇団の総監督の立花いづみです」
父さんが自己紹介をすれば、いづみちゃんはチラチラと心配そうな表情を私に向けた。
それもそうか。
私が父さんをここに連れてくるってことはまず普通じゃ有り得ない。
多分、父さんを連れてこなければならなかったよっぽどの"事情 "があったってことにこの場にいる皆は気づいているんだろう。
だから、
「今日はちょっとお話があって伺ったのですが、急ですいません」
いづみ「あ、いえ...！どうぞ中にお入りください！」
いづみちゃんの案内で中へ入っていく父さんに続こうとした時。
後ろから腕を強く引っ張られて。
万里「どういうことだよ」
怒っているような、真剣な万里の顔。
...止めないでよ、こんな時に。
『っ、痛い』
万里「...わり」
痛い。
掴まれた腕よりも、それ以上に胸が痛い。
『...自宅謹慎』
万里「は？」
『手上げたから、一週間の自宅謹慎なんだって。それで父さんがいづみちゃんと会いたいって』
万里「...ちっ」
あくまで"本題"を伏せ、万里に状況を説明する。
ここでこの話を出せば、万里は間違いなくキレるだろうから。
その作戦が正しかったのか、万里はそれ以上何も言ってこなくて。
それにほっとしながら、私たちは談話室の方へと足を踏み入れる。
「しばらく、Aはうちで預かろうと思うんです」
談話室では、ちょうど父さんがいづみちゃんに"本題"を切り出しているところだった。
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琥珀(プロフ) - えななんさん» 更新ができずお待たせしてしまってすみません...。こうして今でもコメントいただけると、とっても嬉しいです！寒くなってきましたので、お身体にはお気を付けくださいね。 (2022年10月6日 11時) (
レス) id: 3c7d372253 (このIDを非表示/違反報告)
えななん(プロフ) - だいぶお話も進んで、冬組に近づいてきていて嬉しいです！これからも楽しみにしてます！ (2022年10月3日 17時) (レス) @page41 id: 15071f4cc5 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - るるるーさん» ありがとうございます！これからも喜んでいただけるように更新を続けていこうと思っているので楽しみにお待ちいただけると幸いです！ (2022年8月8日 0時) (レス) id: 74473316dd (このIDを非表示/違反報告)
るるるー(プロフ) - この前作品を読み始めたばかりなのですが、あっという間に読んでしまいました！！ワードセンスや設定などとても好みです！無理しない程度に、更新頑張ってください。応援しています！ (2022年7月29日 18時) (レス) id: 4d458783a4 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 瑠李さん» 本当ですか！？お読みいただきありがとうございます！更新頻度にばらつきがありますが、是非楽しみにしていただけると嬉しいです＾＾ (2022年7月14日 10時) (レス) id: 8c7c498829 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2022年4月11日 23時
