イナズマイレブン～FF編～第1巻 (ページ43)

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（４１）無理矢理ページ43

味方からドリブルしていたボールを、瞬時に奪った。

染岡「なっ……何しやがる！」

円堂「……天空？」

ポーカーフェイスを崩さない聖悟。

そんな彼は、1人で勝手にチームの輪から離れるように、強引に攻め上がった。

ボールを軽く蹴り上げ、空中で目を瞑ってオーバーヘッドシュートを繰り出す。

そのボールは、ターボエンジンでもついているかのように加速し、DF陣を怪我させるような勢いで真っ直ぐにゴールへと飛んで行った。

聖悟「……悪霊は、大人しく成仏しやがれ」

言い放った言葉に、キーパーの鉈はゾクリと背筋が凍った。

その瞬間に、シュートはネットを揺らす。

角馬「ここで試合終了です！4対3、4対3で、雷門中が尾刈斗中に大逆転勝利だーッ！」

夏未「ふふっ…悪運の強いこと」

壁山「勝った…勝ったんスね、オレ達」

円堂「やってくれたな、染岡、豪炎寺！お前達のドラゴントルネードが、教えてくれたよ！
1人でできないことも、2人で力を合わせればできるようになるんだってな！」

染岡「エースストライカーの座は、譲ったわけじゃねぇからな」

素直じゃない染岡に、豪炎寺はふっと笑みが零れた。

円堂「さぁみんな！フットボールフロンティアに乗り込むぞ！」

「「オーッ！」」

夕陽がきらめくグラウンドで、雷門中一同は拳を上げた。

・

空が藍色になり、すっかり暗くなってきた。

部室で着替えを済ませたメンバーは、早い者から順に部室を出て帰っていく。

半田「お疲れ～！」

秋「また明日！」

円堂「ああ、じゃあな！」

そうして、自分も帰ろうとした。

しかし、まだ着替えていない聖悟は、フェイスタオルを頭に被せてベンチで俯いていた。

円堂「天空も、ありがとうな！
ハーフタイムの時、みんなに喝入れてくれたおかげで、気分が引き締まったぜ！」

聖悟「…………」

円堂「……ん？天空？」

返事をしない聖悟の顔を、円堂は覗きこんだ。そこには、無感情でブツブツと呪文のように呟いている、聖悟ではない“誰か”だった。

聖悟「この程度じゃダメだ……

強くならないと……

負けは許されない……」

明らかに、何かに取り憑かれたような様子だった。

はたから見れば随分と変だったが、数秒後に聖悟はそのまま立ち上がってジャージを羽織り、独り言を言うのを辞めずに部室を立ち去った。

円堂「……天空？」