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「Aって、場地さん家の圭介くんって子と遊んだことあった？」
『あー、うん。それがどうしたの』
お母さんにそう言われたのは、一昨日のこと。
いきなり圭介のことを出されたから、内心かなり焦った。
でもお母さんとの会話にも、ましてや態度にすら出してないんだから気付かれてはないでしょ。
どうせ、どこの誰を殴っただとか、車を燃やしただとか、警察沙汰になったとかそんな噂が団地で広まってるんだろう。
呑気にそんなことを考えていた私に告げられたのは、その予想をはるかに超えるもので。
「彼、二カ月前に亡くなったそうよ。まだ若いのに、可哀想ねぇ」
『え、？』
お母さんにとって圭介は、余所の、顔だって思い出せない子。
だからこんなにも淡々と、けど少しだけ悲しそうにそれを言えたんだ。
私にとって圭介が同じ距離感であることを信じて疑っていないから。
確かに、最近圭介を見かけなくなった気がする。
でも私は受験で忙しかったし、私の周りは東京卍會とは一切縁のない子たちばっかだから、私の耳に入ってこないのも当然っちゃ当然で。
でも耳に入ってこなかったのは、それが嘘だからじゃなくて？
圭介は、亡くなってなんかいないとかじゃなくて？
全身の血が、一気に下がっていくような感じに襲われる。
足が鉛のように地面にくっついて離れようとしない。
――あれ、こんなに身体って重かったっけ。
不幸中の幸いだったのは、お母さんがお皿を洗っていて私の方に背中を向けていたことだけだ。
だから本当に最後の最後まで私が圭介を好きなことをばれることはなくなった。
それからは、お母さんに今日は疲れちゃった、と嘘をついて早めに部屋に戻り、一日圭介のことだけを考えた。
自分なりに受け止めて、お墓参りだけは行っておきたくて。
震える手で圭介の家のインターホンを押したのは昨日の事。
圭介のお母さんも私のことなんて覚えていなかったけど、「上がってお線香でもあげてくれる？」って言ってくれた。優しいお母さんだ。
でも私はそれを断った。失礼になることを承知で。
『先にお墓に寄ってから、また来てもいいですか』
そんな我儘を言っても、圭介のお母さんは一切嫌な顔せずに「またおいで」って言ってくれた。
私にはそれがより一層辛くて、『ありがとうございます』って頭を下げることしかできなかった。
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琥珀(プロフ) - 白河青蓮さん» ありがとうございます＾＾書き溜めていたものが少ないので１話ずつの投稿になると思いますが、是非とも宜しくお願いします！ (2022年6月10日 22時) (
レス) id: bb1cc81145 (このIDを非表示/違反報告)
白河青蓮(プロフ) - 感情移入できるタイプに夢主ちゃんだ…。最高です！続き楽しみに待ってます。(無理はなさらないでください(^^) (2022年6月10日 18時) (レス) id: 7a285a1a8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2022年6月10日 2時
