第１０８話 ページ11
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それから、ひとまず私達は雄三さんに通しで稽古を見てもらうことになったんだけど。
"しばき倒す"。
その言葉通り、一通り見終わった後の雄三さんの言葉は容赦のないものだった。
それはあの左京の厳しい意見ですら、かわいいものだったと思える程に。
* * *
雄三「セリフが５つしかねえのに、出来ねえってのは幼稚園児以下だ」
シトロン「オーゥ..」
雄三「脚本に思い入れが強ぇからか独りよがりなんだよ。客がいることを考えて伝わるようにしなきゃ、ただの自己満足だ」
綴「なっ...」
雄三「ティボルト、こいつは別にいう事ねぇな。やる気ねぇならさっさと舞台から降りろ」
至「...」
雄三「演技自体たいしてうまくもねえくせにすかしてんじゃねえ。てめえの演技はつまんねえんだよ」
真澄「なにっ、」
春組の中で一番演技が上手い真澄ですら、この言われよう。
その言葉は少し浮かれていた皆の鼻をへし折るには十分で。
そして雄三さんはその視線を咲也の方に持っていく。
雄三「最後、主役のロミオ」
咲也「は、はい！」
雄三「問題外だな。主役のくせに舞台のことがまったくわかってねえ。一からやり直せ」
"問題外"。
あまりにもストレートすぎるその言葉。
そのせいで咲也は何も言えずにぐっと押し黙ってしまう。
雄三「ああ、そうだ。おい、あんた」
いづみ「はい？」
雄三さんの言葉にすっかり意気消沈している皆を構わずに、雄三さんは私たちの方に近づいてくる。
そして、
雄三「...あのロミオ、その気になりゃ、いくらでも伸びるぞ」
そんな言葉を落とした。
技術力のある真澄じゃなくて、咲也。
残念ながら雄三さんが咲也に何を見出したのかは私には分からない。
でもそう言って咲也を見る雄三さんの目は、どこか期待するような目つきで。
雄三「言っとくが今の惨状は監督の責任だからな。しっかり受け止めろよ」
いづみ「...気を引き締めて、頑張ります」
雄三さんのそんな言葉に、いづみちゃんは力強く頷いた。
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琥珀(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！まだまだ春組ですが、気長に待っていただけると嬉しいです！ (2021年5月4日 23時) (
レス) id: 2e5c416c18 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 100話目おめでとうございます！いつも更新を楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2021年5月4日 20時) (レス) id: bf03d702ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琥珀
| 作成日時：2021年5月4日 14時
