拾陸 ページ17
次の日、目を開ければ、隣に美しいお顔が。
キャッと情けない声を出す。
「あ、無惨様か。そっか」
無惨様が隣にいたのを確認してしまえば、頬が熱を帯びる。まだ目を瞑る無惨様の顔には綺麗に巻かれている黒髪が掛かっている。
手を伸ばし、その髪を上げ耳に掛ける。
その途端、無惨様の目が開き、ふわっと上から覆い被さられた。優しく包み込む様に。
「なんだ。襲ってくると思ったが、こないのか」
「そ、そんなことしませんよ!何言ってるんですか!?」
「そうか。冗談だ」
無惨様が口角を上げて含み笑う。
これは絶対起きてたな。と確信しながらも、無惨様の背中に手を回して抱き締め返す。
「起きてましたよね」
「…………あぁ」
「ほら!もう!起きてるなら言ってくださいよ!!」
「悪い。余りにもお前が可愛かったものだから」
「…………うぅ」
無惨様に可愛いと言われて素直に嬉しくて黙ってしまう。
無惨様はその様子を面白そうに見ている。
「私もう起きますね」
そう言って体を持ち上げれば、腰に激痛が走った。その場に座り込む。
「手加減してって言いましたよね?」
「私は善処すると言った」
「無惨様!!!」
怒って頬を膨らましていれば、無惨様が隣に座って私の頭を撫でる。
ずるい。怒るにも怒れない。
取り敢えずお互い服を着て、また私は布団に座り込む。これがまた痛すぎるのだ。
手加減が出来ないのかあの鬼は!!
膨れてそっぽを向く私に無惨様は若干口角を上げながら話しかけてくる。
「A。おい」
「………何ですか。私は今怒ってるんです」
「悪かったと言っているだろう」
本当にすまなそうな顔をするので、今日は許してあげることにした。
上目遣いで軽く睨む。
「無惨様、次は手加減してくださいね」
「あぁ」
無惨様は私を後ろから抱き締め、耳元で囁いた。
「善処する」
そのまま私の服に手を掛けるので、身の危険を感じた時、襖が勢い良く開いた。
何てタイミングだろう。
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るく - めっちゃ面白かったです!無惨様イケメンでした! (2022年12月22日 12時) (レス) @page31 id: 8a619dd2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いなりずし | 作成日時:2021年2月6日 16時