オレンジサイダー Daiki.A (ページ7)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:705 hit

6 ページ7

.

その日は突然やってきた

.

「ただいま…」

いつもと違う声

あからさまにやつれてる声

「おかえり

…どうしたの、お兄ちゃん」

この時まではすごく心配だった

けど、

次の一言で視界が揺れた

.

「…撮られた」

.

「撮られた」

その一言は大きいもの

アイドルをしている立場だからでもある

でも、それ以上に辛かった

ごめんね、お兄ちゃん

お兄ちゃんの心配する心の余裕なんてないや

お兄ちゃんの言い方でわかっちゃった

…関係は本当のことなんでしょう？

でっちあげられた嘘の報道じゃない

たしかな事実

.

「そっか…」

やっと発した言葉がこれ

気の利いた言葉ひとつもかけられなかった

なんで私が部屋に籠っちゃってるの

お兄ちゃんに美味しいご飯作ってあげなきゃ

少しでも元気づけてあげなきゃ

そう思うのに体は動かない

.

お兄ちゃんが家に女の人を呼んだことはない

ってことは、相手の家で撮られたんだね

でも、なんとなく気づいてた

お兄ちゃんが朝方帰ってきて
私に「ただいま」って言いにきてくれるとき

女の人の香水のニオイがしてた

遅くなる

の連絡が来た日は気になって仕方なくてお兄ちゃんが帰ってくるまでずっと待ってるんだよ

待ってたって傷つくだけなのにね

.

お兄ちゃんに慰めの言葉をかけるほどの余裕はない

けど、少しだけでも、と思い電話をかける

こんなことがあってもね、好きだから役に立ちたいの

.

「もしもし？」

「あっもしもし

…ちぃちゃん？」

「そうだよ、Aどうしたの？」

どうしたのって…わかってるくせに

「…お兄ちゃん」

「あぁ…泣いていいんだよ

こっちのことは任せて、僕がうまくやるから」

「っ……ありがとう、ちぃちゃん」

「うん、また何かあったら電話して」

.

ねえ、ちぃちゃん

なんで好き矢印は交わることがないんだろうね？

なんでみんな違う方向を向いているのかな