妖怪ウォッチを持つ少女は世界に羽ばたく【オリオンの刻印】

〜仲間の筈〜 ページ27

試合は、無情なホイッスルにより再開される。

「ソク、頼むぜ！」

キャプテンであるソクに、ボールが回る。

「やっとやる気になったか！」

前半、ペク達の正々堂々、とはお世辞にも言えないプレーに異議を申したソクからすれば、ペク達がちゃんとしたサッカーをやる気になったのは嬉しい事だった。

＿＿＿だが＿＿＿＿

Aが咄嗟に嫌な予感を覚え、妖気を指に込めるが、


もう



.



遅かった。

ソクの後ろの相手選手が、ソクにラフプレーを仕掛ける。
呆気に取られるソクに、ペクがとどめの膝蹴り！

「ちょっと！！」

Aの手が空中を掴むのとほぼ同時に、ソクはフィールドに倒れた。

試合は無論中断。
ざわつくイナズマジャパン、そして会場。

「どういう事……！？仲間同士の筈なのに……！」

Aが衝撃に目を見開く。
それは他の日本代表も同じく。

「え！？今のって……！」

「マジかよ！」

公式なる世界大会、FFIには到底相応しいと言えぬプレーの披露に、Aの表情が曇る。

「……もう少し早く、私が『太陽ノ光典』を使ってたら、あの選手はプレー出来てたのに…」

はぁ、と溜め息をつくと、耳の中にある会話が飛び込んで来る。

「味方同士で潰し合うなんて、馬鹿な奴らだぜ」

「あぁ、全くだ」

思わず「それ君達が言う？」などとツッコミを入れたくなる、灰崎とヒロトの会話。

「……味方同士。潰し合う。競い合う。どこかの誰かさん達みたいねぇ」

「「──あぁ！？」」

「んふふ、私は誰とは言ってないけど？」

Aが意地悪い声のトーンで、わざと灰崎とヒロトに聞こえる様に言う。
案の定怒る二人。
だがそれも、他のチームメイトから見れば、“姫”にもてあそばれているとしか思えないのだった。

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