星【2】 ページ2
ふと、意識を向けると、俺の手は爪が食い込むほどに強く握られていた。
否、既に食い込んでいて聊かな血が出ていた。
真赭な血が俺の掌から滴り落ちる。
何故、俺は熱くなっているのだ。
別にもうグランドフィナーレを迎えたことではないか。
――否、だからこそかもしれん。
奴が死んだからこそ、このような感情を抱いてしまうのだろう。
まだ、きっと、俺達の戦いは終わってはいないんだろう。
確信はないが、なんとなくそう思う。
奴から奪った
ジョースター一族は本当に侮れん。
過去の俺から見れば、ジョジョなど容易く折れてしまう惨めで萎凋しつつある植物の茎ぐらいにしか思わなかっただろう。
こいつは惨めで、可哀想で、どうしようもない。
こいつはダメだ、と。
しかし、今現在ではどうだろう。
きっとあの時から俺は学習したのだろう。
不気味な仮面が見届けた、ロビーでの、出来事。
ジョジョに恋人がいると言うんで様子を伺えば、なんと医者の娘のエリナだった。
エリナのことは話を聞いたことしかなく、接点は何一つなかった。
顔も知らなければ、性格も何も知らない。
だが、ジョジョが好意を持つ女となれば、きっと愚かしい女なんだろうなと感じていた。
下馬評通りだった。
気高い、というのだろうか。
俺が唇を奪ってやれば、その女は自分が倒れた後すぐ傍にあった泥水で口を漱いだ。
そして鋭利な目で俺を見た。
決して、それは憎しみを抱いての睨みではない。
「貴方にどんな屈辱を受けようとも、私は決して屈しはしない」
と、あの海の様な青碧の瞳で伝えてきた。
気が付けば、俺はエリナの頬を叩いていた。
メソメソ泣いてくれなかったことが悔しかったんじゃあない。
泥水なんかで口を漱がれたことが悲しかったんじゃあない。
腹が立ったのだ。
そうやって、自分を復する行為が。
取り戻そうとする、考えを持ったことが。
―――間違いなくこの女は、母と同類の存在なのだろう。
だから、どうしようもない者の隣を歩くのだろう。
嗚呼、全く酷似している。
可哀想にも思えてくる。
どう足掻いても救われないんだな、と。
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DIO様ラブ☆ - DIO様がぁ……拷問?を受けて「コ□せよ」と言った時……泣いちゃった………あんなにまで誇りを捨てるなんて……………承太郎許せん!!アイズオブヘブンで再起不能にしてやる!!!(もちろんDIO様とプッチで) (2018年7月31日 12時) (レス) id: b551eccf14 (このIDを非表示/違反報告)
姉がうるさい - 最初見たとき、「うおっ、何だこれ………」って思いましたが、だんだんと呼んでいるうちにこの小説が好きになっていました!とっても面白かったです! (2016年9月7日 21時) (レス) id: 684bc7dbab (このIDを非表示/違反報告)
コロネ君(プロフ) - 紳士さん» はじめまして、こんにちは!有難うございます(^∇^)頑張ります!!! (2014年7月16日 21時) (レス) id: 1152812d15 (このIDを非表示/違反報告)
紳士 - はじめまして!!すごくおもしろいです(`∀´)!!更新頑張ってください(≧∇≦) (2014年7月16日 0時) (携帯から) (レス) id: d345fe67e9 (このIDを非表示/違反報告)
コロネ君(プロフ) - クロシロさん» きさま!見てしまったなッ!? 勉強に精を出すのだ馬鹿者ッ! (2014年5月20日 17時) (レス) id: 1152812d15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:コロネ君 | 作成日時:2014年5月18日 0時