第262話-ブラジル戦- ページ17
円堂｢ロニージョ、どうしたんだ？
前半より、プレーにキレがなくなってる。
ガルシルドは、刑事さんが必ず逮捕するって約束をしてくれた！
もうお前達を脅かしたり、命令したりする奴はいないんだぞ！｣
ロニージョ｢違うんだ。｣
円堂｢え？｣
ロニージョ｢確かに、俺達の目の前でガルシルドは連行された…でも、それだけじゃ何も解決してないんだ。｣
円堂｢どういうことだ？｣
ラガルート｢俺達の家族は、ガルシルドのグループ企業から仕事をもらっていたんだ。
もし、ガルシルドが逮捕されることになれば、俺達の家族は仕事をなくしてしまう。｣
ロニージョ｢サッカーで優秀な成績をおさめることで、家族の生活を楽にさせてやろうと頑張っていたのに、逆に家族を苦しめることになってしまう。
サッカーでの自由は手に入れたのかもしれない。だが、本当にこれでよかったのか？
ガルシルドの言うことを聞いていれば、少なくとも家族は…｣
土方｢お前達は、何も分かっていない。｣
ロニージョ｢お前に、何が分かるというんだ！
恵まれた環境で生活をしてきたお前に、俺達の何が分かる！？｣
土方｢家族の思いだ。｣
ロニージョ｢家族の…｣
土方｢俺にも兄弟がいる。
1番上の俺が、この世界大会に出場している間、弟達は寂しい思いをしてるはずだ。
だが、それでも弟達は、俺を世界大会に送り出してくれた。何故だか分かるか？
自分達のことよりも、俺がサッカーで活躍する姿が見たいからだ。
弟達のその思いがあるから、俺は頑張れる。
ロニージョ、きっとお前達の家族もそうだ。お前にサッカーをさせてやりたい…お前の活躍を見たいからこそ、お前をこの大会に送り出してくれたはずだ。｣
｢しっかりしろ、兄ちゃん！｣
ラガルート｢あっ…｣
｢俺は、かっこいい兄ちゃんが、見たいんだ！｣
ラガルート｢あいつ…｣
ロニージョ｢ラガルートの…｣
｢兄ちゃん！｣
ロニージョ｢俺達は勘違いしてたようだな。
あの日、家族が笑顔で送り出してくれたのは、サッカーで輝いている俺達を見たかったから、か。｣
ラガルート｢あぁ！｣
ロニージョ｢やろうぜ！俺達、ザ･キングダムの本当のサッカーを！｣
｢おぉ！｣
土方｢余計なことしちまったかな。｣
ヒロト｢緑川風に言えば、寝た子を起こした、かな。｣
鬼道｢ディフェンス、忙しくなりそうだな。｣
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作者名：苺の花 | 作成日時：2019年5月10日 12時
