思わぬこと ページ42
刀剣達は彼を見て驚いていた。それはそうだ。私もそうなのだから…
「して…人の子よ、何故ゆえこの山に入ったのだ？」
『えっと、任務で私も参加することになってまして…』
「ほぅ…倶利坊を顕現していない状態で戦うとはな、こりゃあ驚きだな」
『えっ!？っ!？』
突然私の腰に差してあった太刀が光ると同時に自ら顕現してきた、一降りの白い刃物。
「よっ、鶴丸国永だ。俺みたいなやつがいきなり現れて驚いたか？」
驚きを隠せない私を見て、満足そうに「君は驚かせがいがあるな」と笑みを浮かべている。
後ろから「やっぱり鶴さんだったんだね」と光忠さんが言っていた。
『知り合い…なんですか？先程、大倶利伽羅のことも知っている言い方でしたし』
「その前に、倶利坊を顕現させてはくれないか？ここは三日月によって厄介事の多い連中が邪魔できないよう結界が張り巡らせているからな」
人数以外に顕現したって咎めることはないと言われた為、戸惑いながらにも彼に手をかけ、顕現する。
すると、彼もわかっていたのか…鶴丸を見るなり
「国永…か」
と見据えるように言った。
「久しいな！倶利伽羅」
「…どうでもいいな」
「また倶利ちゃんそんなこと言って」
三人で会話(一方的に話していく鶴丸と光忠に対し、いろいろ口を挟む大倶利伽羅)が花が咲く。というのは本当なのだとは思うが…
『(この三人…会話が久々にあった叔父さんに内心嬉しいけど素直になれない息子とそれを見て仕方がないわねと言っている母親にしか見えない…のは私の気のせい？)』
蚊帳の外であろう清光くん達が私に「なに考えてるの？」と聞かれたので『新しい仲間が増えて良かったな』と誤魔化した。
しかし三日月には誤魔化せなかった様で…
「ふむ…はっはっは、そうかそうか…よきかなよきかな」
『(…うん、気付かれているよね…)』
何がよきかな…なのかさっぱりなのだが、彼はこれ以上聞いてくることはなかった。
とりあえず、本丸に帰ってからまたゆっくりと話してもらえればいいだろうと考え、それを彼等に伝えると、彼らもそれに賛同し三日月も、この山には些か飽きてきたと言っていたため共に本丸に連れ帰ることに…
こうして、無事三日月を仲間に出来たのだが…
こんなさっくりうまく言っていいのだろうか心配になってきた。
そして、この心配が後にとんでもないことの前触れに過ぎないことも…
私達はまだ気づいていなかったのだ…
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作者名：セローナ | 作成日時：2017年3月8日 0時
