My whole life

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厚保樫山ページ38

『ここが…厚保樫山…』
「主、大丈夫かい？」
『戦場は…初日ぶりですね』
苦笑をする私をあぁ…と納得する光忠さん。
「そう言えば主、倶利ちゃんと出会った場所は戦場だったもんね」
『はぃ、ここではないけれど…同じような空気は流れていました』
「主大丈夫？」
「無理はしないでね主、俺達が主を守るから！」
「主君に指一本触れさせませんからご安心ください！」
『…ありがとうみんな…嬉しいし頼りにはしているけど、ここは戦場。みんなの足手まといにはならないように頑張ります…それに、私一人ではないので』
にこりと微笑む腰元には一本の打刀だった。

…
「俺を編成から外せ」
最初は彼の言葉を理解することができなかった。
そんなにも私と出陣が嫌なのかと思ったこともある。
けれど私の考えは違っていた。

「編成から外し、顕現をしていない状態の俺を持ってあんたは出ろ…」
『顕現をしていない状態って…』
「…あんたは己の刀を持っていない。支給されたのなら別だが、支給すらされていないだろう。刀を持たずに戦に出ようならそれこそ、自ら死にに行くようなものだ。ならば一振(ひとり)の顕現をとき、刀の状態であんたが使う。そしてあんたに万が一が起こりそうな時、顕現すれば、少なくともあんたの危険を回避できる…俺を使いこなせるようにしたのはその理由だ…あの紙にもそんな規制が無かったからな…」
『…あの時、私を一人では戦わせないと言っていた理由はこれだったんだね？』
「嫌ならば、例え強制任務だろうがあんたを戦場に連れていかせられない…この条件をのむのなら…あんたを戦場に、連れていく…」
『…わかりました、その条件のみます…』
この条件を大倶利伽羅(かれ)があの時にさらりと言ったお陰で私は今この場に居れる。
だからこそ、期待に応えられるよう頑張らなきゃ…
敵陣を発見し、偵察が得意である平野君が方陣であることを教えてくれた。
「なら、横隊陣かなぁ…主もそれで良いかな？」
『私は戦場では一番不慣れなものですし…それにこの隊の隊長は貴方ですから』
気にしなくて大丈夫ですよと微笑むと暫く沈黙の後にオーケーと返ってくる。
そして今、戦いの火蓋がきられた。