手合わせ…燭台切光忠side ページ36
「武器を持て、構えろ」
「わかった…あんたの覚悟、見せてもらう」
『わかりました。私の今の本気を貴方に示します』
こうなってしまってはもう誰も止めるものは居ない。僕たちは二人を見守ることにした。
静寂だけがそこにあった。
「…はじめ」
倶利ちゃん…彼の言葉で同田貫くんは一気に主の元にやって来る。
主もその事をわかっていたのか、落ち着きながらその攻撃を受け止め、そのまま受け流した。
誰もが驚くよね、主って初心者だよ？
それには同田貫くんも一瞬怯むものの、彼の持ち味を生かし、体制を調え、力で主に対抗してきた。
すると主はその事を読んでいたのか、その前に独特のステップを踏みひらりと交わしつつ、同田貫の力を受け流す。うん、その姿はまるで舞っているみたいだったよ。
そして次の瞬間…
金属音の音。同田貫くんの刀が空を舞い、後ろに突き刺さった。
彼の喉元には大倶利伽羅の刀が向けられていた。
「終わったな…」
誰もが目を見開いていた、そして呆然とする。勿論僕もね。すると彼女はゆっくりと刀を引き、刀をしまうと一息ついた。
『同田貫さん…私が女で初心者だからって油断をして手を抜きましたね？…本当の貴方はこんな実力ではないでしょう？』
「っ！？…はっ…とんだ女だったって訳か…まさか、俺が負けるなんてな(笑」
『…言ったはずですよ？今の本気を貴方に示すと』
「確かにな…大倶利伽羅(こいつ)が力でも貸したのかと思ったが、そんな気配一切無かった。あんた、何物だぁ？初心者にしちゃあ随分と動きにキレがあったぞ」
『誉め言葉ありがとうございます…ですが、私もさっきの動きはよくわかってないんです』
『不思議ですよね』と呟きながら明後日の方を見据える彼女を見て、多くの人達はこう思っただろう…「無意識であそこまでなるか！？」と…
この戦いで、僕たちは審神者出陣…主を参加させることに余儀なくなったんだ…
道場で解散になって、みんな主を誉めていた。
僕も勿論誉めたよ。
その後に倶利ちゃんに一つの疑問を聞いたんだ。
「そういえば、倶利ちゃんなにか主に言いかけていたけど…何を言おうとしたの？」
「…さぁな…忘れた…」
いったい何を言おうとしたのか僕にはわからないけど。でも今はそのことは置いておこうと思うんだ。
多分きっと…わかる日が来ると思うからね。
…さて、今日もかっこよくお昼の準備を始めようかな？
主にはしっかり食べてもらわなきゃ！
…燭台切光忠side終
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作者名：セローナ | 作成日時：2017年3月8日 0時
