馬当番にて… ページ32
鍛練の後、いつものように仕事を終わらせてからみんなの様子を見て回ろうと廊下を歩く。庭では短刀達の軽やかな走り、どうやら今日は鬼ごっこをやっているみたい。楽しそうに声をあげている姿を見ると心が癒され、日々の疲れもとれる気持ちになる。
畑当番ではいつものようにやる気の高い陸奥守さんがやる気のない和泉守さんに対しておちょくり言い合いになりながらも作業を続けている様子。うん、通常運転だね。ある意味いいコンビだと思う。
道場では獅子王さんと山姥切が手合わせに打ち込んでいた。木刀とは言え、激しい位の打ち合いは、私と大倶利伽羅(彼)との打ち合いとは雲泥の差だった。単に私の技術不足等が原因なのだが、これには到底及ばないだろう。戦っている彼等の表情は生き生きとしていて、やはり刀なのだなと実感する。
様々な様子を確認しつつ、最後の馬当番へ…ん？
「右に避けろ主！」
「はいっ！？」
突如黒い物体が、咄嗟に避けた私の横スレスレに通りすぎ、後ろの木にベチャッと引っ付いた。独特な臭いを放つその塊に…予想は付くわけで…思わず冷や汗が出てくる。
「主さん！大丈夫でしたか？」
投げた張本人であろう鯰尾くんに、先程注意を促してくれた骨喰くん。二人ともこちらに駆け寄ってくれた。
「すまない主、大丈夫か？」
「…あー良かったー、その様子だとかかってないみたいですね、さっきのはすみませんでした」
「あっうん、大丈夫です…とりあえず、どうしてこうなったのか説明お願い出来るかな？」
ちゃんと説明を聞かないと解決策が思い浮かばないしね。
「えっ？馬糞は嫌いな人に投げる！これ、定番ですよね？」
「…兄弟」
「…えっ？私、鯰尾くんに嫌われているんですか！？」
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作者名：セローナ | 作成日時：2017年3月8日 0時
