相談 大倶利伽羅side ページ29
帰ってきてみれば、いつも通りの主の出迎え。今日はそこそこの資材を持って帰ってきた。
主にいつも通りに報告する。いつものように「ごくろうさまです」と微笑んで帰ってくる。ここまでは普通なのだが、何時ものような自然ではない笑いに疑問を感じる。いったい、何があったのか？
とりあえず部隊を解散させ、いつものように主の後に着いていくことにした。
ちなみに手入れが必要な奴は誰もいない。
その事を前歩くこいつに話せば「良かった」と胸を撫で下ろしていた。そこまでの仕草はいつも通りに見える。
だが、まだ違和感が抜けない。
本人もその事についてわかっていたのか、部屋まで着くと、主は他の奴等が居ないことを確認してから俺に黙ってある一枚の手紙を手渡された。
中には審神者出陣についてと書かれていたことに思わず、目を開く。
何かの勘違いだろうと内容を見るが、決して勘違いではない。
読み終え、主の方を向けば
「強制任務らしいから不参加ってことが出来ないみたいなんです」
と困り笑顔で言っていた。
「…その様子だと刀を持ったことのないようだな…」
「はぃ…私達の時代では[銃刀法違反]と言って、無闇に刀や銃を持ってはいけないんです…それに私、今まで武道はやったことがなくて…」
まぁ、普通の女ならそうだろう。
出会ったときの体の腺の細さと軽さ。手は汚れのない綺麗な手をしていたのだから、こう言ったことは無縁な感じがしていた。
なぜ政府はそんな主に出陣などさせるのか…理解ができない。
俺にしか見せない辺り、他の奴等の反応が予想ができるからか…それはそうだろうな。
俺だって戦わせたくない。
重傷、中傷なら兎も角、小傷でさえも急いで手入れ部屋に行く様子を見ると、何時までたってもこういう環境は慣れていないことに勘はつく。
主は心が綺麗すぎるのだ、育ちや環境もあるためか戦場のことなんか全く知らない。
そんな彼女をこっち側に引き寄せてはいけない気がした。
だが、こいつの一番の厄介なことは真面目であるため政府の強制任務と言った言葉に言い返すこともできない。
「主はどうしたいんだ？」
とりあえず、自分の意志がどうしたいのかわからなければ、言いようがない。
主は少し考えながら口を開く。
「私はーーー」
その決意は主らしい答えだった。
群れるのは好きではないが…
仕方がないな…
この決意はまだまだ二人の秘密にすることになりそうだ。
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作者名：セローナ | 作成日時：2017年3月8日 0時
