口喧嘩もほどほどに ページ25
「あー！ズルい安定。」
「そっちこそ今まで散々主を独り占めしてただろ？僕は今まで内番してたんだからこれくらい良いじゃん！」
「良くないって！っと言うか爪紅のことバラすなよ！」
「はぁ〜？隠す必要のないものを何で隠す意味があるわけ？ばっかじゃないの？」
「俺はお前と違うの！」
「(…あらら、始まっちゃった…)」
ほんの些細なことで始まってしまう二人の口喧嘩。一日一回は必ず起こることなので、最早日常の一つだった。かといって戦場で一度共に出陣すると、前の主がら一緒だからなのか、息の合った阿吽の呼吸で敵を殲滅させていくコンビだ。本当に仲が良いのか悪いのか…いや、喧嘩するほど仲が良いと言う言葉があるくらいだ。それだけ相手に本音を言い合える仲なのだろう。何とも微笑ましい光景。聞いていてついつい笑ってしまう。それに気が付いたのか二人もふと我に帰り、焦ったように謝ってきた。
「「ご、こめん(なさい)主！」」
「ううん、大丈夫。仲が良いね二人とも」
「「いや、仲良くないから(ね)！」」
「ほらっ、息ピッタリ」
笑いながら言えばまた真似をするなという口喧嘩が始まる。
私は笑いながらそれをBGMにまた審神者業務へと戻るのだった。
ちなみに、その喧嘩は新しく本丸に来た長谷部によって収められた。
「主！何故二人を止めようとしないのですか！？同じ部屋では作業に支障を来しましょう」
「あはは…もう日常茶飯時のことで、すっかりBGMの一つになってるからな〜それに、部屋の物とか壊さないこと、他の人に迷惑をかけなければ良いかな？と思ってたし」
「…主…わかりました。この主お世話係の長谷部が、必ずも主が作業しやすい環境を整えて見せます！」
「…えっ？…主…お世話係？」
「はぃ！先ずは近待である大倶利伽羅にーー」
「…おぃ…俺は俺のしたいようにしているだけだ…誰の命も従うつもりはない…それはこいつも了承を得ている」
「貴様は！だいたい主の初期刀、近待であるにもかかわらず！主に向かってこいつ呼ばわりとは！」
「長谷部さん落ち着いて！私は別に気にしてませんから！」
「主はコイツらに甘すぎるんです！」
「(こっちに飛び火した〜！！)」
その後、主従関係のあり方を一から説明を受け…疲労感を残しながら急ぎ夕餉の支度をしようと大倶利伽羅と共に厨に向かった。
そして、長谷部さんの主お世話係の件は無しと言う形で二人の意見は一致した。
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作者名：セローナ | 作成日時：2017年3月8日 0時
