My whole life

今日:31 hit、昨日:0 hit、合計:8,315 hit

本音と素顔ページ15

大倶利伽羅にまた本丸案内を頼むとめんどくさそうにチラリとこちらを見て、溜め息をひとつ吐いてから、その場を去る。二人は大人しく付いていってくれるようで、内心ほっとする。
見た目は目付きが怖く、ぶっきらぼうなところはあるものの、わりと言葉は丁寧で…お願いをすれば、面倒と言う顔はするもののきちんとやってくれる。
根が真面目なのだろう。
初めて会ってからずっと彼の行動を見てきた私の素直な感想である。
「最初はどうなるかと思ったけど…なんとかなるんだね」
「…何が言いたい？」
誰もいない部屋で、独り言を言ったつもりが…いつの間にか大倶利伽羅(彼)がそこにいた。
どうやら聞こえていたらしい。
「聞いていたの？」
「聞こえただけだ、聞きたくて聞いた訳じゃない」
…まぁ、そうだよね…
「そっか…」
「…あんたは帰りたかったんじゃなかったのか？」
「…えっ？」
突然の言葉に私は戸惑うばかりだった。
なぜいきなりそう言うことを言うのだろうか
「倒れた次の日(あの時)から帰ると言う言葉を聞かないからな…最初のあの勢いは何だったんだ」
「あぁ…帰れるなら帰りたい気持ちはあるよ？向こうも大切な場所だし、急に知らない所に連れていかれたら尚更ね…でも今は…私が呼ばれた意味があるのなら、私はそれに応えたいの。それに…」
「なんだ」
「みんなのこと、もっと知っても罰は当たらないかなって思ってさ」
そう言えば彼はいつものように馴れ合いはしないと口にする。
それに私は「言うと思った」と笑いながら口にすれば、何がおかしいと言うようにこちらを睨んでくる。
それでも私は怖くなかった。確かに帰れないといきなり言われ、不安と悲しみで押し潰されそうになったのも史実なのだが…それ以上に心配してくれると言う優しい彼に、純粋に嬉しかったからだ。
だから私は彼…いや刀剣男士(彼等)に心配をあまりかけないように、笑っていよう。どんなに辛いことがあったとしても、彼を含めた全ての仲間たちに迷惑をかけないように…そう私は決意したのだった…

「そういえば、堀川君と加州君は？」
「粗方説明した後、早々に解散した。俺は馴れ合う気はないからな」
「相変わらずだね」
苦笑気味の私に報告は以上だと告げられたため、お疲れさまと彼に微笑む。
彼は少し目を反らしながら
「別に、あんたのためじゃない」
と言ってから去っていった。

これが数日たった私達の日常。