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『あの、お部屋探し手伝ってくれてありがとうございました。
もう大丈夫ですから、荷造りは手伝いいりません』
「なんでですか?」
『なんで?逆になんで手伝ってくれるんですか?』
上司の引越しなんて、手伝いたいと思う?普通。
「僕はAちゃんのオッパですからね!」
『え?』
「あ、忘れちゃったんですか?昨日の夜、ぼく言ったじゃないですかぁ」
『あ、あれまだ続いてたんですか?
っていうか私、ジミンさんより3つも歳上だし、一応上司なんですけど……』
「そんなの関係ないです!僕がAちゃんを甘やかしたいので!
僕がAちゃんのオッパなんです!」
どき、っとすこし胸がなった気がした。
ジミンさんの言葉に、甘えたがりの私がひょこっと顔を出す。
最近は仕事が忙しくて、
ユンギオッパも子供産まれてからバタバタしててなかなか会えなくて、
両親も子供が育ったから田舎に引っ込むと、引越し準備をしてるところだったから。
なかなか甘えられる人がいなくて、すこし、いや、結構寂しかった。
最近なんだか心身のちょっとした不調の自覚があったけど、やっと気づいた。
わたし、さみしかったし、つらかったんだな。
『おっぱ……』
「そう!僕がAちゃんのオッパ!
昨日だけじゃなくて、今日も明日も!
Aちゃんが辛いとき、そばにいて、いっぱい甘やかしてあげる!」
にっこりと笑うジミンさん。
その笑顔を見てると、
言ってることはめちゃくちゃなのに、
年齢とか仕事の立場とか、何もかも忘れて甘えたくなる。
昨日の夜、知ってしまったそのぬくもりが頭から離れなくて。
昨日の安心感とか、
優しい声とか、
撫でてくれた手とか、
そんなのを思い出していたら。
「……だめ?」
そういって首を傾げるジミンさんに対して
『……だ、め……じゃ、ない……』
なんて答えてしまって。
「やった!」
そうやって微笑んだジミンさんに包み込まれた。
『……ジミンさん』
「ん〜?」
『会社では今まで通りにしてくださいね…?』
「え〜」
『あたりまえでしょう!それが出来ないならだめです』
「…Aちゃんが敬語やめてくれるならいいよ」
『……会社以外だけですよ』
「ですよ?」
『…………会社以外だけだよ』
「うん!わかったよぉ〜」
そうやって、むちゃくちゃで、あべこべで、ヘンテコな私たちの関係が始まった。
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いなり(プロフ) - tyaiさん» すごくすごく返信が遅くなってしまってごめんなさい😭他の方のレスにも書いたんですが、Twitterの方で番外編を書いてます!今後こちらにもあげるかも知れませんがまだ未定ですので思い出した時にでも見に来ていただけたら嬉しいです🥲 (2022年11月16日 8時) (レス) id: dd77868689 (このIDを非表示/違反報告)
いなり(プロフ) - yu5さん» すごくすごく返信が遅くなってしまってすみません😭Twitterの方で番外編をちょこちょこ書いています!溜まったらまたここに上げる、かもしれませんがまだ未定です🥲 (2022年11月16日 8時) (レス) id: dd77868689 (このIDを非表示/違反報告)
tyai - 急なコメント失礼します。本当に面白かったです!続編などは出ますでしょうか? (2022年11月3日 23時) (レス) id: 4eebb26101 (このIDを非表示/違反報告)
yu5(プロフ) - 続きがめっちゃ気になります😩💦 (2022年11月2日 9時) (レス) @page45 id: 45f8af9607 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いなり | 作成日時:2022年10月29日 7時