【イナGO】囚人と暗殺者 (ページ9)

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９STORY ページ9

～浜野サイド～

アジトに戻ってきたAは、どこか上の空な表情をしていた。

ちなみにAが戻ってくる数時間前には俺の仕事も終わり、ずっとここで待機してAの帰りを待っていたのだが……。

浜野「ちゅーかA？どうしたのさ？」

貴方「ん？あ、いや、なんでもないよ！」

そう言ってニコッと笑うA。

俺は知っている。Aがこんな笑顔を見せる相手は、組織のトップスリー、そして同じ三幹部の二人だけだということを。

俺、神童、霧野、倉間、速水。

俺ら五人は、この組織が結成されてからずっとAと一緒にいる。

いわゆる、『幼馴染』だ。

つまり、Aが最も信頼できるメンバー。

あいつ、親に裏切られてからしばらく、人間不信に陥りかけてたんだよね。

今でも……。

貴方「そーだ、海士！ごめんね、今日はあんまり上手く偵察できなかった！」

Aはそう言うなり、両手を合わせて許しを乞うてきた。

浜野「え、そうなの？まあいいんじゃね？」

Aが任務に失敗するなんて珍しい。

だけど大した問題でもないし、神童もこの程度の失敗なら許してくれるだろう。

浜野「なんかあったの？」

貴方「……変な奴に会った」

浜野「？」

どうやらAは、研究所に収容されている囚人もとい『実験台』の一人と思われる少年に会ったらしい。

そいつが突然、自分の心を読んできたんだとか。

なるほど、それで怖くなって逃げ出してきたというわけか。

浜野「そいつも恐らくは、『強化人間』だな。読心術は能力のひとつだと考えるのが妥当か……」

貴方「そっか……じゃあ、こんなことでビビッてられないね。拓人や蘭丸にも迷惑かけたくないし……」

弱気な表情から一変、険しい顔つきになったAは、今度もう一度研究所に行ってみると言い出した。

Aは昔から負けず嫌いなところがあるからな……まあ、Aらしい、といえばそれまでだろう。

浜野「おう！じゃあ、頑張ってくれよ！((ﾆｯ」

俺はただ、こいつを応援する。

大切な人だから、ずっと見守っていたい。

たとえ、Aが俺を嫌ったとしても。