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70.怒り ページ24
日向はしばらく顔を伏せ、肩で息をしていた。
が、深呼吸を一つすると、右手に神器を顕現させ、影憑を睨みつけ、
「檜扇ィィィィィ！」
叫び声を上げながら、枝を一本ずつ駆け上がっていった。
「無駄ですよ」
檜扇が呟き、手を前に振ると、それまで何の変化も無かった桜の花びらが数枚、はらりと落ちた。
日向が居る高さまで落ちてくると、花びらは急に向きを変え、日向へ矢のように向かっていく。
「クソっ…」
日向はそれを空中で避けると、そのまま地面へ降り立った。
「すでにこの木の半分ほどが、僕の命令を聞くようになっています。完全に影に染まるのも時間の問題でしょうね」
日向はなおも檜扇を睨んでいる。
その目には、明らかな怒りと憎しみが込められていた。
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