監督生さんが突然元の世界へ帰ってしまいました〜軽率にドッキリなんてするんじゃなかった〜【ツイステ】

＊オルト・シュラウドの独白 ページ24

学園長先生の話を聞いた瞬間、僕のシステムの核がズキズキ痛む。
何かを検索しようとしてもうまく働かなくて、身体も軋む。

＿あれ、故障しちゃったのかな？

僕はそう呑気に思いながら周りを見渡した。

他の生徒も、普段は見れないような＜悲しい＞表情をしている。
皆、目から＜涙＞という液体を流して悲しんでいるように見える。

そっか、Aさんはとっても愛されていたんだね。
そっか、僕もきっとみんなとおんなじなんだね。

だって、エラーを起こしているの。
とっても核の部分が冷たいの。
＜感情＞ってどんなものか知識だけで、自覚する機会は少なかったけど…多分これが＜寂しい・悲しい＞っていう感情なんだね。


『イデアせんぱーい！あーそーぼ！』

君は、兄さんの数少ないお友達だったね。
週に１回遊びに来ては、僕とも遊んでくれてありがとう。

僕ね、嬉しかったの。
兄さんが素敵な人だってわかってくれる人が出来て。
兄さんの優しさに気が付く人が出来て。
兄さんが笑顔を向ける人が出来て。

全部、全部、Aさんなんだよ。


『オルトくんはめんこいの〜。』
『めんこい？』

ある日、君は僕の頭を撫でてそう言ってくれたね。
＜可愛い＞って意味なんでしょ？
ちゃんとデータに上書きしておいたよ。
いつも色んな事教えてくれてありがとう。

僕の髪の毛は、兄さんと一緒で青い炎で覆われているからみんなあまり撫でてくれないのに、君は優しい手で撫でてくれた。
兄さんと違って僕はコンプレックスは無かったけど、それでも人に撫でてもらえてとっても嬉しかったなぁ。

君は間違いなく、僕たち兄弟にとって特別な存在だったんだと思う。


「あ、」


ここまで思い出してふと気が付く。
僕の頬が濡れている。

何で？

兄さん、僕の機能に涙なんていつの間に入れていたんだろう。
生まれて初めてだ。

君はいなくなっても僕に新しいことを教えてくれるんだね。


でも、でもね。
僕気がついちゃったんだ。
新しいことを知ることよりも、Aさんが一緒にいてくれる方が何倍も嬉しいんだ。

新しい事を知って嬉しいはずなのに、エラーが止まらないの。
君に会いたくて仕方が無いんだ。

ねぇ、涙を知った僕の涙を拭いに来てよ。
そして、今度は＜嬉しい＞と＜笑顔＞を君が教えて。


君の幸せを心から祈っているけど、
やっぱり僕は欲張りさんだから・・・


もう一度君と遊べることもこっそりお願いしておくね。
兄さんならどうにかしてくれるはずだから！

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