スパルタ特訓(1) ページ46
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みか「なんや?キミ、Valkyrieのファンなん?」
「え…?」
私が彼の名前を呼んだ瞬間目の色が変わる。
これ…もしかして…「ヤラカシ」だと思われてるカンジ…?
影片くんは完全に疑いの目でこちらを見ている。
これって…なんていうべき…?
違うっていうのも失礼だし…
かといって肯定したらきっと追い出される。
「えっと…きょ、今日からこちらでお世話になる、大藤Aと申します…!」
真っ白になった頭で必死に考えて出た答えは普通に「名乗る」ことだった。
みか「なんや!新人さんかあ!オレ、またファンの子がESに侵入してきちゃったのかと思ってしもてん。ごめんなあ?」
「い、いえ…紛らわしいことをしたのは事実ですし…」
ふわふわと喋る方言が特徴的な影片くん。
仮に私が勘違いされたことに腹を立てていたとしてもすべてを許してしまいそう。(ちょろすぎる)
みか「せや!今日はな、オレが新人研修頼まれてん。早く来すぎちゃったからここで作業してたんやけど気付いたら寝てしもてん…。」
え…なにそのかわいいエピソード…
Valkyrieはすごく高貴なイメージで近寄りがたい人達だと思っていたけど、ステージの外だとそんなこともないのかもしれない…
「今日は…何をするんですか…?」
みか「衣装のメンテナンスや!衣装は使うとどうしてもエナメル生地に傷がついたり、型崩れしたりするんやけど、そのチェックを着た後にやる決まりなんや。そうすれば衣装も長持ちするし、いざ急に使うってなった時にバタバタしないで済むんよ。Trickstarなんかはゲリラライブを開催することが多いからな。」
「なるほど…」
確かに本番直前に衣装の不具合が見つかったら以前私が光くんの衣装を縫った時みたいにバタバタする羽目になるのだろう。
みか「今日は、昨日の音楽祭で出演したfine、紅月、Knights、EDENの4ユニットの衣装のチェックをしたら終わりや!」
こともなげに言ってるけど、それって16人分の衣装チェックを行うってことだよね…?
早くもキャパオーバーになりそう…
一番上に積み重なっていた衣装でチェックの仕方を一通り習う。
みか「オレは今度のValkyrieの衣装制作をしないといけないからあんまり手を貸せへんけどわからないところとかあったら言ってな?」
「わかりました…」
でも弱音を吐いてる場合じゃない。仁兎くんを追ってESに来たんだと思われないようにしっかり仕事をこなさないと。
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作者名:小野屋 | 作成日時:2020年5月28日 17時