桃のタルトケーキ《Nazuna.N》 (ページ26)

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水色の学園祭(１) ページ26

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授業に、課題に、サークルに、バイトに、追われる毎日を送っているとあっという間に学園祭の期間に突入する。

私の所属する手芸サークルではハンドクラフトのグッズを販売するブースを毎年運営している。

クラフトワークショップに比べて3日間な分、楽なのかと思いきやそんなことはなくて、大学を見学しに来る高校生やその保護者、また近くの専門学校に通う子たち、OB・OGの先輩方が学園祭に遊びに来るため集客率としてはトントンかそれより上。

また、クラフトワークショップでは材料集めや図版の作成などに時間をかけていたけれど、学園祭では完成品を販売するため、部員自ら作品を量産する必要がある。

クラフトワークショップの頃はみんなそれが一番きついと言うのだけれど、学園祭の頃になるとみんな掌を返したように学園祭が一番きついと言う。

私はキーホルダー作成班に配属されて、いまはひたすらに羊毛フェルトに針を刺して刺して刺して刺しまくってぬいぐるみを量産している。

気が遠くなりそう…

でも、どうやらこれは楽な方らしく、刺繍班やぬいぐるみ班、編み物班の人たちは毎日発狂しかけながら作業しているのを見ると「この班でよかった…」と思ってしまう。

あれから仁兎くんとはLINEも続いているし、授業でも隣に座ることもある。

つまり、現状キープ、というわけだ。

ちーちゃんにもみみちゃんにも「つまんない！」と怒られたけど、こればっかりは仕方がない。

私だって正直この先を望んでいるわけじゃないし、今が一番楽しいワケで。

まる「ねーねーAちゃん！僕と班変わって！おねがい！」

「えー！先輩、うちのサークルのエースじゃないですか！一番楽だからという理由で一年生が多い羊毛フェルト班に先輩が入ることになったら他の先輩たちに絞られちゃいますよ？」

まるちゃん先輩の後ろには妖気を発する別の先輩たちがじりじりと近づいてきている。

『こらー！まる！あんたは稼ぎ頭なんだからさっさと手を動かす！』

『まるがぬいぐるみ班からいなくなったら私…もうダメかも…』

『まるはこんなところにいていい人材じゃないの！さっさとぬいぐるみ班に戻りなさい！！！』

まる「ひっ！」

首根っこをつかまれてずるずると引きずられていくまるちゃん先輩。

ちょっとかわいそう…

っといけない。私も今日のノルマ終わらせないと帰れないんだった。

少し手を止めただけで班長からの視線が刺さる。

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