4.恐怖のタクシー ページ4
タクシーが捕まるどころか、車が走っていない道路を私達はゆっくり歩いていた。
「足痛いし、疲れたし、重いしーっ!!」
ユキは座り込んでしまった。
「だね〜、参ったなぁ〜。地図見るとホテルまで近いような気もするから、歩けそうだと思ったんだけど…」
私は、地図を見ながら周りを見たけど、さっぱり分からないし、疲れて勘も鈍ってしまっていた。
その時、黒塗りの車が私達の横に停まった。
窓が開いて、中からおじさんが話しかけてきた。
韓国語なので、何を言ってるか分からない。
そんな素振りを見ておじさんは、
「タクシー、タクシー!」
と、車の中を指さしてきた。
どう見たって、タクシーな訳ない。
第一、車の屋根に光る物が無い、窓にはスモークが貼られてる。
「ユキ、やばくない？逃げようよ！」
私達は、後ずさりしながら逃げようとした。
「これはやばいやつだ！A、逃げよう！」
バタンっ
車からもう1人の怖そうなおじさんが降りてきて、逃げようとしたユキの腕を掴んできた。
「きゃっ!!」
「ユキっ!!」
あまりの恐怖に震えたが、荷物を離し、ユキの反対の腕を掴んだ。
おじさんが韓国語で怒鳴ってきたけど、幸い何を言ってるか分からないので、おじさんを無視して無理矢理ユキの腕を引っ張った。
その反動で私達は倒れこむ。
運転手も車から降りてきて、ここで殺されるんだと、恐怖と悲しみでいっぱいになった。
その時、後ろにまたもう1台の車が停まった。
その車から降りてきたのは、なんと焼肉店のヒゲのお兄さんだった。
敵か味方か、恐怖の目で私達はお兄さんを見た。
しばらく、おじさん達とヒゲのお兄さんが韓国語で口論していた。
すると、おじさん達は怒鳴りながら、自分達の車に乗り込んで走って行った。
私達二人は、動く事もできずあまりの恐怖に泣いてしまった。
ヒゲのお兄さんは私達の所に走ってきて、
「大丈夫ですかっ？ケガはないですかっ？」
と心配そうに話しかけてくれた。
その言葉を聞いて私達は大泣きした。
ヒゲのお兄さんに、事のいきさつを少しずつ話した。
お兄さんは、Aが握りしめてた地図を見て首を横に振った。
「ホテルまで歩いたら、1時間以上かかりますよ？しかも、反対方面に向かってました。
さっきのような悪質な車は、時々いるんです。
とても危ないです。
僕がこのホテルまで送りますから、いいですね？」
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作者名：いもたろ | 作成日時：2014年9月11日 14時
