日常387 優しいミルクは素敵 ページ42
「じゃあ、失礼します。」
少女は何となく、恐る恐る左馬刻の隣に座った。
テーブルにはコーヒー牛乳と左馬刻のブラックコーヒーから湯気が出ていて、少女は
＿あぁ、ドアの前でうだうだしてたのバレてたんだろうなぁ。
と、香りを伴う湯気を見ながら思った。
「ん。Aのだ。飲めよ。」
「ありがとうございます。」
左馬刻は少女が緊張していることに気が付いていた。
今回、少女自身も無茶をした自覚があったのだ。左馬刻はそれを考慮して少女の心が落ち着くのを待っているようだった。
「…左馬刻さん。」
「ん？」
少女はコーヒー牛乳を一口飲むと、ようやく口を開いた。
「何も、聞かないんですか？」
少女はマグカップをただ見つめる。
左馬刻は何となく、少女と目が合わないことが気に食わなかった。
「聞くに決まってんだろ。何のために呼び出したと思ってんだ。」
「あ、デスヨネ。」
「ただ…」
左馬刻はマグカップを持っている少女の手に、自身の手を重ねると、ゆっくりテーブルに導いて
＿＿コトン
マグカップをテーブルに置いた。
何故かその音が部屋に響く。
左馬刻は少女の目をまっすぐ見ていた。
＿ようやく目が合った。
「Aは帰って来てくれたからな。後少しくらいなら待ってやる。」
少女は唖然とした。
「何故助けを呼ばなかった。」「あまり無茶をするな。」と、また説教されると思っていたのだ。しかし、左馬刻は分かってくれていた。前回の事件で少女が打ち明けた気持ちを。
左馬刻は、少女を『絶対に守る対象』から『守るけど対等な対象』に変えてくれていたのだ。
少女はそれが嬉しかった。
「勿論、帰ってきますよ。」
「おう。Aはそうやって笑ってればいい。」
＿怯えたあの顔より何倍も可愛いからな。
左馬刻は心の中でこっそりそう思った。
「…銃兎さんと理鶯さんが来たら…ちゃんと話しますね。」
少女は今度こそ緊張を解くと、ソファーの背もたれに寄りかかった。
気が付けばスカルが少女の太ももでくつろいでいる。
そんな最近まで当たり前だった光景を見て
＿やっと帰ってきたな。
左馬刻は心底安心するとともに、
＿コイツが崩れてしまったときは、今度こそ零さねぇように。
左馬刻はそうこっそり決意しながら少女とスカルをその胸に抱き寄せた。
「…ただいまです。左馬刻さん。」
「おう。お帰り。」
日常388 尋問の時ってカツ丼欲しいよね→←日常386 いつでもそこに立っている
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1250人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いもけんぴ(プロフ) - あきえさん» あきえ様、コメントありがとうございます。とても嬉しいです！！左馬刻様ですね！お任せくださいませ！私も、実は左馬刻様が最推しです… (2022年7月10日 0時) (
レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
あきえ(プロフ) - 初め芋けんぴ様の作品大好きで読ませて頂いています！あまり無理しない範囲で更新お待ちしています！（出来たら、出来たらで良いので！左馬刻様の登場！！よろしくお願いします！！） (2022年7月9日 21時) (レス) @page50 id: 7956ee69df (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - 蒼井とーるさん» 蒼井とーるさん、お久しぶりです！コメントありがとうございます。お褒めの言葉も嬉しい限りです！私も、蒼井さんの反応集好きで、読ませていただいてますよ！ ポッセのお茶会、良いですよね〜。絶対平和です。 (2022年7月9日 0時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 今回も最高でした…！ポッセのお茶会に混ざりたい今日この頃です。 (2022年7月8日 10時) (レス) @page49 id: 90146b8ac1 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - なのはさん» なのは様、コメントありがとうございます。お返事が遅くなり申し訳ありません。パスワード設定の作品の公開はもう少しお待ちいただけますと幸いです。更新も、私生活が忙しくままならない事を申し訳なく思っております。 (2022年6月25日 10時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：芋けんぴ | 作成日時：2021年6月19日 23時
