日常373 病院の匂いってどこも同じだよね ページ23
翌日、龍琉と珊瑚が夕方にオキナワ行きの便に乗って帰ってしまうため、3人で午前中に駆け込むように寂雷の病院にやって来た。
龍琉としては娘である少女の無事を知りたかったのだ。
そして、珊瑚は何故か同伴で来るように寂雷に指示されていたらしかった。
珊瑚は心底嫌そうな顔をしていたが、少女に手を繋いでもらって何とか寂雷の診察室にやって来た。
「寂雷さん、こんにちは。」
「…こんにちは。」
少女と珊瑚が挨拶しながら入室すると寂雷はにこやかに向かい入れて人払いをしてくれた。
「貴方があの有名な神宮寺先生ですか。まさか娘と知り合いだったとは。お会いできて光栄です。初めまして、乾龍琉と申します。」
龍琉はにこやかな表情で寂雷に手を差し出す。
「こちらこそ、お会いできて光栄です。神宮寺寂雷と申します。」
寂雷もにこやかにその手を握った。
そして全員が座ると寂雷からの話が始まった。
「Aさんは今回、記憶喪失ではなくそちらの…」
「珊瑚よ。」
「…珊瑚さんのラップアビリティの影響でお二人の人格が入れ替わっていた、ということであっていますか?」
寂雷の質問に、少女と珊瑚が頷く。
その反応に寂雷は安心したように息を吐いた。
「良かった。一応前回の違法マイクの影響も考えられるから心配だったんだ。」
「そっか。確かにそうですね。」
「ですが、今回の君たちの証言でその説は完全に消えたから安心してね。」
「はい。」
寂雷は少女に微笑みかける。
少女も安心したように笑うが、珊瑚の表情は未だ強張ったままだった。
「珊瑚さんはやはり、病院が苦手みたいだね。」
予想は出来ていたが、珊瑚本人の反応を見て寂雷は病院に怯えていた少女を思い出して思わず苦笑いを浮かべた。
「わかってるなら何で呼んだのよ。」
「聞きたいことと確認したいことがありまして。苦手なのに来てくれてありがとう。」
「別にアンタの為じゃないわ。妹の為よ。」
珊瑚の解答を聞いて、本当に少女と龍琉のことを珊瑚が大切に思っているのがわかって珊瑚以外の人は思わずほっこりしてしまった。
「さて、本題に入りたいんだけど良いかな?」
「はい。」
「ここからは、お父様である龍琉さんも聞いていただきたいことになります。」
「わかりました。」
空気が一変、緊張が走る。
何が聞かれるのか、少女の背筋が思わず伸びた。
「Aさんのラップアビリティについて確かめたいことがあります。」
寂雷の言葉に3人は目を見開いた。
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いもけんぴ(プロフ) - あきえさん» あきえ様、コメントありがとうございます。とても嬉しいです!!左馬刻様ですね!お任せくださいませ!私も、実は左馬刻様が最推しです… (2022年7月10日 0時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
あきえ(プロフ) - 初め芋けんぴ様の作品大好きで読ませて頂いています!あまり無理しない範囲で更新お待ちしています!(出来たら、出来たらで良いので!左馬刻様の登場!!よろしくお願いします!!) (2022年7月9日 21時) (レス) @page50 id: 7956ee69df (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - 蒼井とーるさん» 蒼井とーるさん、お久しぶりです!コメントありがとうございます。お褒めの言葉も嬉しい限りです!私も、蒼井さんの反応集好きで、読ませていただいてますよ! ポッセのお茶会、良いですよね〜。絶対平和です。 (2022年7月9日 0時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 今回も最高でした…!ポッセのお茶会に混ざりたい今日この頃です。 (2022年7月8日 10時) (レス) @page49 id: 90146b8ac1 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - なのはさん» なのは様、コメントありがとうございます。お返事が遅くなり申し訳ありません。パスワード設定の作品の公開はもう少しお待ちいただけますと幸いです。更新も、私生活が忙しくままならない事を申し訳なく思っております。 (2022年6月25日 10時) (レス) id: e6e71631e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年6月19日 23時