人間洗浄機９

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先週の月曜日

「いらっしゃいませ〜。３名様でございますね！」

ナポリのホールバイト生の竜ヶ峰佳奈美(りゅうがみねかなみ)が入り口に差し掛かると…

「ひっ！お、女の子…。」
「おい！お前、早くジャケット着ろよ！」
「ふふふ。相変わらず興味深い。」

金髪で顔が真っ青な男と、クマが出来ていてやつれたサラリーマンと、紫色のロン毛の男が。
金髪の男は慌てたようにジャケットを羽織ると…

「先ほどは申し訳ない。お嬢さん。」

「へ？あ、あの〜お客様…」

素早い変わり身で、竜ケ崎の手を取り手の甲に口づけをした。
すると凄い勢いでサラリーマンが謝ってくる。

＿変わったお客様が来たな〜
と、竜ケ崎は呆れながらも対応をした。
席に案内を終え、ホールスタッフの基本持ち場に戻る。

「A先輩、今日のお客さん癖強いですよ〜。」

「え、そうなの？」

竜ケ崎が声をかけたのは、乾A。
そう、少女だ。
たまたまバイトに入っていた少女は、嬉々としてホールを覗き込む。
変人に吸い寄せられる少女もまた、変人だったのだ。

そして、先ほどの３人を見つけた途端に持ち場から離れる。

「寂雷さん！一二三さん！独歩さん！」

どうやら、知り合いのようだ。
名前を聞いて竜ケ崎がしっかり顔を見ると、彼らはシンジュクディビジョン代表チームの麻天狼であった。

「ちょ、ちょちょちょ！安西さん！」
「カナミン…やばいね。」

竜ケ崎はキッチンの安西と顔を合わせる。
何だかんだ言って、少女の知り合いが来店してきたのは初めてで、２人とも普段は見れない少女の顔を気にしているのだ。

補足で説明しておくと、ナポリのキッチンはオープンキッチンでありホールの様子がキッチンからでも見られるのだ。
竜ケ崎と、安西はキッチンから興味津々にホールを覗く。

このバイト先は、下世話な話し好きが多いのだ。

「ご注文はお決まりですか？」

少女は、会話を楽しみながらも流れるように注文を取っていく。
そして何故か、頑なに寂雷に酒を飲ませようとはしなかった。むしろ飲みたがっていた寂雷を言葉巧みに止めていた。

そして、少女と話している麻天狼の顔の表情が穏やかなのを見てニヤける。

「私、DOPPOの笑顔なんて初めて見ましたよ。」
「僕もだよ〜。も〜罪なオ・ン・ナ！」

安西は少女を指さしながら微笑む。
そんな安西に頷き、竜ケ崎は思った。

「先輩、超人たらしですもんね。」

「君も大好きだろ？」

「勿論ですよ。」

今日もお仕事頑張りましょう。

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