日常250 理想の兄貴 ページ38
「着きましたよ。」
「ですね。」
車は萬屋ヤマダの前に止まる。
すると部屋の窓から見ていたのか、一郎が家から飛び出てきた。
「A！！」
一郎は元気そうに助手席に座る少女を視界に入れた瞬間に、ようやく安心したような表情を浮かべる。
そして何故か少女が降りる前に、助手席のドアを開けて、
「いででで…」
「何か言うことは？」
「しゅみまへんでひた。」
少女が振り返ると同時に、ムギュっと少女の両頬を結構な力で抓る。
一郎は少女の言葉になっていない謝罪を聞くと取りあえず満足したのか、少女の頬から手を離し、
「寂雷さん、ありがとうございました。」
寂雷に頭を下げた。
取りあえず少女も一緒に下げる。
「いえ、こちらこそAさんを巻き込んでしまって…だから、一郎君。あまり彼女を責めないでくれるかな？」
寂雷はその様子を見て、少し申し訳なさそうに話す。
少女は後に女神が現れたかと思ったと言う。
「そのつもりっす。元々怒ってたのはあの連絡の雑さだったんで。それに、今回は俺のせいでもあるしな。」
少女が思っていたよりも一郎は怒っていなかったようだ。
ケロッとした表情で寂雷に話しながら少女の頭を少し雑に撫でる。
それを聞いて寂雷は安心し微笑む。
「では、Aさんまた今度。」
「A、ありがとな。」
「Aちゃん、また、お店来てね。」
麻天狼のメンバーはそれぞれに少女に挨拶すると、夜の街に帰っていった。
「よし、A。」
「んー？何？」
寂雷の車を見送ると一郎は少女に手を差し伸べる。
少女はその手と一郎を交互に見て頭上に？を浮かべながら、取りあえずその手を取った。
「おかえり。」
そう言って一郎は少女の手をギュッと握る。
少女はその手を握り返し、
「うん。ただいま。」
笑顔で言った。
それから、手を繋ぎながら階段を上り家に入っていく。
少女が手を洗ってからリビングに戻ると、
「あれ…？良い匂い。」
部屋の中にダシの効いた良い香りが充満していた。
少女は何故かキッチンでエプロンをつけている一郎の元に駆け寄る。
少女の気配を察した一郎はお玉片手に振り返り、
「夕飯まだだろ？作っといたから一緒に食おうぜ。」
と少女に笑いかける。
鍋の中を見ると、
「…一郎ぉ、ごめんね。」
少女は一郎の背中におでこをくっつけてグリグリする。
そんな少女に一郎は笑い、
「もう怒ってねーよ。」
と言いながら少女に温まった肉じゃがを差し出した。
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きな粉もち - いもけんぴさん» ご返信ありがとうございます。楽しみに待っています！ (2022年10月29日 18時) (
レス) id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - きな粉もちさん» きな粉もち様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - くりゅさん» くりゅ様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - れんさん» れん様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 人間洗浄機シリーズ、いつも楽しませていただいております！８以降のパスワードを教えていただけないでしょうか？ (2022年10月26日 16時) (レス) @page47 id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：芋けんぴ | 作成日時：2021年1月17日 19時
