日常249 思い合い ページ37
「もしもし、一郎くんかな?」
『あ、寂雷さん。すんません、電話変わってもらって。』
「ふふふ、構わないよ。私の方こそ彼女を巻き込んでしまって、申し訳ないことをしたね。」
寂雷は電話を変わるなり、謝罪を入れる。
『元はと言えば俺の依頼があって、迎えに行けなかったのが悪いんで、謝らないでください。それで、Aの容体は大丈夫そうでしたか?』
どうやら、一郎が寂雷に聞きたかったのは少女の容体のようだ。
一郎の声には心配が混ざっていて、
_彼女は…本当に愛されてますね。
寂雷は思わずにっこりする。
「えぇ。今日、ずっと彼女の様子を見ていたけど、全く問題無かったよ。」
『良かった!じゃあ、あと少しAをよろしくお願いします。俺、起きとくんで。』
「勿論です。責任持って送り届けますね。」
寂雷はそう言いながら少女の頭を撫でる。
少女は訳がわからない顔をしながら、黙ってされるがままでいた。
『じゃあ、頼みます!』
「はい。」
寂雷はそう言って電話を切り、少女にスマホを返す。
「…一郎、怒ってましたね〜。」
「ふふふ、愛だね。」
「あ、笑い事じゃ無いんですよ〜?この前の説教は本当に怖かった…私のお父さんより怖かった…。」
少女は前にされた説教を思い出し、虚無顔で車の天井を眺める。
「まぁ、あんなふざけたLINEした私が悪いんですけど…って、うっそ…」
少女がスマホを軽く弄りながら、あるものを発見して言葉を失う。
何故なら
〈着信履歴:118件〉
全部山田三兄弟からだ。
意外と三朗が1番多かった。
「どうしたんだ?A。…え!?」
少女がスマホを持ったまま固まったので、独歩が身を乗り出して声をかける。
少女への着信履歴が目に入ると独歩も固まってしまった。
「…A、愛されてるな。」
「ですね…。」
まさか着信履歴だけで3桁を記録する日が来るとは…
まぁ、入院帰りということもあっただろうが…
過保護だ。
「私ももう大学生なんだけどなぁ…。」
独歩は見た。
口ではそう言いながらも、ゆるっゆるに綻んだ少女の顔を。
_愛が重いのはお互い様…か。
まぁ、自分の身を案じてくれる人がいて、嫌な人は少ないだろう。
「さて、もうすぐイケブクロだよ。」
寂雷が微笑む。
いつの間にかネオンでギラついていた街並みは遠くなり、閑静な道を走る車。
月明かりとポツポツとした電灯の灯の中、所々でまだ営業中の居酒屋の照明が、より一層輝く。
萬屋ヤマダまで後…
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きな粉もち - いもけんぴさん» ご返信ありがとうございます。楽しみに待っています! (2022年10月29日 18時) (レス) id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - きな粉もちさん» きな粉もち様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - くりゅさん» くりゅ様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - れんさん» れん様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 人間洗浄機シリーズ、いつも楽しませていただいております!8以降のパスワードを教えていただけないでしょうか? (2022年10月26日 16時) (レス) @page47 id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年1月17日 19時