日常233 貸し1つ ページ21
「普通…だったよ。中肉中背、顔も着てたスーツも全部普通…だった。普通過ぎて…特に、言うことは無かったよ。」
一二三の答えに少女は苦笑いを零す。
自分からの問いに答えてくれたのは嬉しいが、故人に対して、些か失礼ではないだろうか。
一二三の答えを聞くと、寂雷が顔を険しくする。
「これは…何か謎めいた、いや…罠めいたものを感じますね。」
「誰かが麻天狼を嵌めたってことですか?」
「えぇ、Aさん。その可能性が高いでしょう。しかし、情報が少なすぎますね。」
応えながら寂雷が少女を見て微笑む。
「こんな時は、ツテのある知り合いに聞いてみましょう。」
_物騒なことにツテのある知り合い…。
少女の脳裏に綺麗な白髪と赤い目をした男がよぎる。
「成程。運転中は厳しいでしょうから、私が電話をかけましょう。」
「ありがとう。では、お願いします。」
少女はニヤリと笑うと、スマホをいじり
<左馬刻さん>
と書かれた連絡先に電話をかけた。
『おぅ、どうした?急に電話なんてよこして。』
電話の向こうから穏やかな声が聞こえる。
少女からの電話に驚きつつも嬉しさもあるようだ。
「あ、左馬刻さんこんばんは。実は…大変なことが起きまして…少し協力していただけませんか?」
少女が少し緊張した面持ちで事情と知りたい情報を説明する。
いくら知り合いとはいえ、ヤクザの力を借りるのだ。
それなりに緊張はするだろう。
一二三と独歩は少女の口から聞こえてきた<左馬刻さん>という名を聞いて顔を見合わせる。
_電話の相手って…
_ヨコハマディビジョンの…碧棺左馬刻?
これはまた、おっかない相手に電話をしたもんだと、独歩は顔を青ざめる。
『仕方ねぇな。おい、貸し1つだ。どーせ、またなんかに巻き込まれたんだろ?』
電話の向こうで左馬刻の呆れたような笑い声が聞こえる。
少女は思わず苦笑いを零し、
「あはは、ご名答です。では、よろしくお願いします!」
『おう、任せろ。すぐに折り返すわ。』
そう言って左馬刻は電話を切った。
少女はふぅーっと1つ深呼吸。
「Aさん、どうでした?」
電話を切ると、寂雷が心配そうに少女の顔を覗き込む。
「すぐに調べて折り返してくれるそうです。」
「それは良かった。折り返しの電話は私が出ても?」
「えぇ、勿論です!」
そう言って少女はスマホを寂雷に渡した。
さて、どんな棚ぼたな情報が待ち受けていることやら。
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きな粉もち - いもけんぴさん» ご返信ありがとうございます。楽しみに待っています! (2022年10月29日 18時) (レス) id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - きな粉もちさん» きな粉もち様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - くりゅさん» くりゅ様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
いもけんぴ(プロフ) - れんさん» れん様、コメントありがとうございます。いずれ、全体公開を考えているため、もう少しお待ちいただけますと幸いです。申し訳ありません。 (2022年10月27日 16時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉もち - 人間洗浄機シリーズ、いつも楽しませていただいております!8以降のパスワードを教えていただけないでしょうか? (2022年10月26日 16時) (レス) @page47 id: 7285b7d776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2021年1月17日 19時