再会 ページ10
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薄暗くてよく見えなかったが、
だんだんと目も慣れてその形状がはっきりと見えてきた。
『どうして…ハクの槍がこんなところに…？』
慌てて辺りを見渡すが、
持ち主の気配は何処にも無い。
『うそっ…何でっ…？』
ハクは何時もこれを、ひと時も手放す事なく持ち歩いていた。
しかも、姫様を守らなければわいけないこんな状況の中こんな所に置いておく筈が…
槍の所々に血の跡を見つけ、嫌な予感が一気に押し寄せる。
返り血か、ハクの血か。
どちらかは分からないが、もしハクの血だとしたら…
嫌だ。
そんなの嫌だ…
ハクは強い、強いんだ。
そんな簡単に殺られるような奴じゃないっ！
その槍を胸に抱え込み、
ぎゅっと目を瞑ればいつの間にか溜まっていた涙が槍に染みを作る。
帰ってこいよって言ったのはハクじゃないっ…！
死んでなんかいたら絶対にっ…
『許さないよっ…っ…ハクっ…』
「…何ですか？泣き虫Aさん」
『…えっ…？』
突然、背後から声がして
私は反射的に振り返る。
『…ハク…？』
「そーだけど？」
『…っ』
うそ…
良かった
良かったっ…！
ハクは死んでなんかないっ。
ちゃんと生きてたっ…！
『…ハクっ…！！』
「おっと…」
安心や嬉しさが入り混じって思いっきり抱き着けば、音を立てて手から離れたハクの槍が地面に落ちる。
『…良かった」
「…っ…」
『…？』
しかし、抱きついた私はまたも血相を変えた。
苦痛に歪むハクの顔に、
身体の彼方此方に巻かれた包帯。
『…ハクっ、これ、どうしたの？
怪我？重症なの？』
ハクから離れて身体全体を見れば、
包帯には既に血が滲んでいる。
「いや、大したことねぇよ」
『嘘だ。だってこれ…「そんなことより…
よかったっ…」
『…っ…ちょっ、ハク！？』
急に抱き締めてきたハクに、
いつもなら押し返すが傷に障らないようじっとする。
すると、私の背に回ったハクの腕が微かに震えている事に気付いた。
「来るのおせぇから…もう…会えないかと…」
『…っ、ごめん…
でもハクが言ったんじゃない、帰ってこいよって。
…だから、意地でも帰ってきた
姫様も無事？』
「あぁ」
『良かった…』
そう言って私も背中に手を回せば、
さらにぎゅっと力を込めて抱き締められる。
『ハク、傷に障るっ！』
そう彼の身を案じて少し抵抗するが、
弱まる気配はない。
暫くそうしていると、
ゆっくり離れたハクが私の涙の跡を親指で拭ってフッと笑った。
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桜彩 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2021年8月16日 14時) (
レス) id: 24c86a42de (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2018年11月8日 23時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
chiaki3624ykc(プロフ) - 続き、みたいです。 (2018年3月21日 14時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
紅姫 - 面白かったです｡小説の続き早く読みたいです｡ (2016年12月22日 18時) (レス) id: 00b831eeb6 (このIDを非表示/違反報告)
睦月 雪(プロフ) - すっごく好みの作品です！更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年5月13日 15時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉羽
| 作成日時：2015年2月28日 16時
